マット安川 ゲストにオピニオン誌「月刊日本」主幹の南丘喜八郎さんを迎え、日本の近現代史や今年の政界展望など、熱くお話しいただきました。

国会議員の質低下を憂う。政治家は公のために働け

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:南丘喜八郎/前田せいめい撮影南丘 喜八郎(みなみおか・きはちろう)氏
月刊日本 主幹(撮影:前田せいめい、以下同)

南丘 小泉チルドレン、小沢ガールズといった言葉が象徴する通り、この10年というもの、国会議員の質は低下する一方です。

 これには小選挙区制という仕組みが大きく関わっています。小選挙区制では1つの選挙区から1人しか当選しません。51%の支持を取った1人が勝ち対立候補は負けるわけですから、風向きしだいで結果が大きくぶれます。

 選挙のたびに素人の政治家が増えるのはそのためでしょう。役人が作ってくる法律案を十分に検討して、議論を重ねて改善するという国会の機能は目に見えて低下している。そんな中で次々に法律が成立している現状は看過できません。

 現行の選挙制度ができたとき、政党助成金という制度も導入されました。歳費や手当にこれを加えると、国会議員1人当たり、ほぼ1億円も国の税金が使われています。東京以外の人は、立地の割に家賃がひどく安い議員宿舎に入ってもいます。

 身分が保障され、食いっぱぐれる心配もない彼らは、お国のことだけを考え、公のために行動しないといけません。なのに彼らは真剣に仕事をしていない。

 昔の政治家は財産をすり減らして政治をしたものです。辞める頃には借金ばかりが残って、担保にした家がなくなっちゃったという人もたくさんいました。それが今では、国会議員を2期務めたら家が建つっていうんですから嘆かわしい。

 今の政治家はおのれのために政治をやっています。公の仕事をしているという自覚がない。このままでは日本は間違いなくダメになります。

昭和史から透けて見える、特定秘密保護法の行き着く先

 戦前、政府は彼らにとって都合の悪い情報を国民に知らせなかった。そうした流れの始まりは、大正期、第1次世界大戦が終わった頃でした。決定的なのは1925年、国体を破壊しようとする組織を徹底的につぶすために作った治安維持法です。

 一連のこういう法律によって自由な言論が行われなくなっていき、当たり障りのない情報しか表に出てこなくなりました。いきおい国民はちゃんとした判断ができなくなった。大東亜戦争が始まってからも、悪いニュースは一切知らされませんでした。

 例えばミッドウェー海戦では航空母艦5隻のうち4隻が沈められたんですが、それを知っていたのは海軍の一部だけです。当時の総理大臣、東條英機にすらその情報は届きませんでした。とにかく都合の悪い情報は隠すというこのやり方が、僕に言わせれば8月15日の敗戦に行き着くんです。