カンボジアで初の大学対抗ロボットコンテスト(以下、ロボコン)まで、あと2カ月ちょっとだ。開催が情報省によって正式に決まったのはいいのだけれど、本当に2カ月ちょっとで大会ができるのか? やってみせるけど、ホンネはちょっと不安なのである。

大会をどう組織するか、十人十色のアドバイスに混乱

 なぜならば、ロボコンをやるために大会を組織するというのがどういうことなのか、私も含めて本当のところは誰も経験したことがない。しかも、ここはカンボジアだ。そこで、カンボジアに長く住んでいる日本人や企業の方々に、当初いろいろ意見を伺った。

 皆さん口々に、「カンボジアでロボコン、素晴らしいですね」と言う。絶対企業もお金を出してくれて、良いイベントになりますよ、とエールをいただく。

 でも、そこから先がみんなばらばらなのである。ある人は、カンボジア政府のどこかの省を動かしてそこから体制を整えてからやるのがいい、と言う。ある人は、まず企業、カンボジア人社会、学校、そして日本人社会でスクラムを組む形の体制を作った方がいいと言う。

 また、ある人は大きな援助団体と組んではどうか、と言う。別の人は日本企業をがっちり掴まえてそこから組織を作れ、と言う。いずれにしても、何につけても時間がかかるこの国で、組織を作るだけでも軽く半年や1年はかかりそうなのである。

ロボットを製作する学生たち(写真提供:筆者、以下同)

 というわけで、カンボジアはいつも混乱気味だが、今回は、我々アシストする側の日本人だって大混乱だ。聞けば聞くほど、どうすればいいのか分からなくなる。

 勿論、JICAに所属する自分の任期のこともある。私のカンボジアでの任期は今年の6月までだ。一緒にやっている德田さんは3月。大会開催日まではいられない。平松さんは一番遅いが、それでも来年の3月までだ。だから、自分たちの任期中に開催したいという思いは当然ある。

 しかし、最も私が気になっていたのは、ほとんどのカンボジア人にとってロボコンは「未知のもの」であるということだ。

 見たこともないものを作り上げるために、お金を出したり、労力を掛けたりして、組織を作り上げることができるだろうか。

 しかも、長いレンジで「技術力やチームワークを育てる」というのがビジョンのロボコンだが、1年でエンジニアが育つ学校を作りますとか、企業誘致が確実にできます、と言った類の話とは違うのだ。

将来に対する予測や想像を可能にするもの

 ロボコンとはなにか? といえば、学生たちがロボットを作り、そのロボットを競わせる。それは見ていて、とても楽しいですよ。楽しみながらロボットや技術に対する興味も広がるし、毎年開催することで、参加する人たちの技術力も上がっていきますよ。そうすると、将来的にカンボジアの「モノづくり」を担う人材が育っていくかもしれませんよ、ということだ。