12月24日、猪瀬直樹氏がついに東京都知事を辞職した。徳洲会からの5000万円の資金提供について、答弁が迷走し続け、ついに地方自治法第100条に基づく百条委員会の設置まで議会で決められてしまった末の、追い込まれ辞職である。

 12月26日には、安倍晋三首相が靖国神社に参拝した。恒例の中国や韓国からだけではなく、アメリカからも非難の声が上がっている。

 2014年の政治にも関わるこの2つの出来事を考えてみたい。

味方がいなかった猪瀬氏

 猪瀬氏が東京都議会で各会派から厳しく追及される姿を見て不思議に思ったのは、猪瀬氏の味方になる会派が存在しなかったことだ。

 都知事選史上最高の400万票を超える得票を獲得した知事である。決断力もあり、アイデア豊富な知事でもあった。東日本大震災での東京消防庁の救援活動、東京天然ガス発電所プロジェクト、都営地下鉄と東京メトロの一元化、2020年東京オリンピックの招致活動など、その良し悪しは別にしても実に精力的なものであった。

 もちろん徳洲会から5000万円という巨額の資金提供を受けていたというのは、大問題である。だが知事選挙では、公明党、維新の会が猪瀬氏を支持、自民党は支援という立場であった。この3党は猪瀬都政の与党であったはずだ。だが猪瀬氏に救いの手を差し伸べる政党はなかった。

 猪瀬氏は小泉内閣の当時、道路公団民営化推進委員会の委員になるが、「『民営化委員会では、猪瀬氏が官僚や族議員を怒鳴りあげるのが恒例でした』(当時を知る政治部記者)」(「週刊文春」12月5日号)という。また「週刊新潮」12月5日号によると、自民党国会議員が来年度予算案について、都庁幹部から聞き取り調査をした際、猪瀬氏は頭も下げず、ふんぞり返って足を組んだままという横柄な態度を取り、自民党国会議員を激怒させたという。