経営力がまぶしい日本の市町村50選(22)

 前回紹介した島根県海士町に本社を置く巡の環の阿部裕志代表は『僕たちは島で、未来をみることにした』(木楽舎、定価1800円=税抜き、信岡良亮取締役との共著)という本を出版している。この本には海士町が若者たちの活気であふれるようになった様子が非常によくまとめられている。

 そのなかで、今回紹介する岩本悠さんは次のように紹介されている。

 「岩本悠さんは2006年に海士町にIターンし、教育委員会にて『人づくりからまちづくり』を推進しています。現在は、島唯一の高校を基点に、地域起業家的人財を育成する新コースや学校―地域連携型効率塾の立ち上げ、全国から多彩な能力や意欲ある生徒を募集する『島留学』の創設など、地域をつくる学校づくりに取り組んでいます」

 1979年生まれ、学生時代にアジア・アフリカ20カ国の地域開発の現場を巡り、その体験をもとに『流学日記』(文芸社幻冬舎文庫)を出版し、その印税でアフガニスタンに学校を建設するという、若くしてバイタリティーあふれる行動を実践してきた。

 その岩本さんが海士町の教育改革にどのように取り組んでいるのかを聞いた。 

「流学」時代の内省で教育に生きることを決めた

川嶋 岩本さんは小さい頃から教育に興味を持っていたんですか。

岩本 中学校のとき自分が死ぬときのことを考えたのがきっかけと言えるかもしれません。どうやって死ぬのかなあ、死ぬときにどう思うのかなあって、押し入れの中で妄想してました(笑)。

 その時、やっぱり金稼ぎましただけじゃ寂しいよな、自分はこれをやった、これを残したと思える人生にしたいよなって考えたんです。で、教員になったら勉強を教えるだけじゃなく、生き方とか、自分じゃないと与えられない影響を人に残せるんじゃないか、と。

 自分が死んだ後も育てた人たちを通してその影響がどんどん社会に広がっていくかもしれないとも考えて、ああこれはいい生き方だなあと思ったわけです。