街中には、歩きながらスマートフォンを操作する人が溢れている。その画面の向こう側は、ソーシャルメディアという人も多いだろう。
スマートフォンを操作しながら電車のホームを歩いていて線路へ転落する事故や、路上で人同士が接触するようなアクシデントも数多く見られるようになった。
最近では、その防止策として、歩行中にスマートフォンを使うと警告画面が表示され、その間スマートフォンが操作できなくなる「歩きスマホ防止機能」まで提供され始めるような始末だ。
インターネット依存専門外来も登場――ソーシャル特有の疲れとは
日本のソーシャルメディア利用者も5000万人規模となり、そんな社会ならではの事象が今年もたくさん話題になった。
ソーシャルメディアに参加することで生じる「ソーシャル疲れ」などは、すっかりその定番のひとつになった。
フェイスブックなどの中で、自分自身や自分の日常を演出したり、本心とは違うコミュニケーションを続けていることで疲れを覚える人が増えているという話だ。インターネット依存専門外来を開設し、月に数十人ほどが来院する病院もある。
「これはソーシャルメディアの中でなくとも、社会生活を営んでいれば多かれ少なかれつきまとうことではないか」と思われる人もいるだろう。確かにそれは一理だとしても、ソーシャルメディアには特有の疲れの源があるわけだ。
ソーシャルメディアの中には職場の人もいれば友達もいる。様々な関係性がその中に混在しているがゆえに(混在しないようコントロールはできるのだが、そこまで厳密にコントロールしきれない人が多いようだ)、自分のパーソナリティや言動の使い分けに苦慮しがちである。
また、ソーシャルメディア上では自分の投稿が記録化され、共有機能により拡散し得ることも、良し悪しが表裏一体だ。それがソーシャルメディアのポジティブな機能である反面、いったんそこで流布されると記録として完全消滅させにくいことが時にネガティブになる。
さらに、ソーシャルメディア上での誹謗中傷の応酬や、失言や不謹慎画像の投稿による炎上などもエスカレートし、次第に根深い問題を生むようになっている。
誹謗中傷も、匿名のアカウントからの悪質な個人攻撃、不謹慎画像の投稿により店舗が倒産するような事態にまで及ぶなど、今年はソーシャルメディアの世界が成熟するプロセスにおける膿みのようなものが増殖する局面となった。