10月1日、安倍晋三首相が消費税率引き上げを表明した。民主党政権時代に方針が固まったこととはいえ、安倍政権にとって非常に大きな転機となるだろう。
今回は、私なりの安倍政権に対する1つの見方を示したい。「そんなことはあり得ない」「非常識だ」とおっしゃる方もいるであろうことを十分承知のうえで、申し上げる。
安倍首相は、将来「日本のレーガン」と呼ばれる可能性があるのではないか。
強い米国を復活させたレーガン
米国の偉大な大統領と言えば、日本国民はまずワシントン、リンカーン、あるいはケネディといった名前を思い浮かべるかと思うが、そこでロナルド・レーガン元米大統領(任期:1981-1989)を真っ先に挙げる人はそれほど多くないだろう。
米国では、レーガン元米大統領が「米国史上最も偉大な大統領」に選ばれたという調査がたびたび発表されており、レーガンに対する評価には、日本国民と米国国民の間で著しいギャップがある。レーガンは任期を終えて25年近く経つが、今も米国人が彼を偉大な大統領と見なすのにはもちろんそれなりの理由がある。
レーガンは、強い米国を復活させたのだ。
まず、ソ連との東西冷戦を終わらせた。米国を軍事的に強い国にし、平和をもたらした。その結果、「平和の配当」がITを中心としたテクノロジーに加わり、今まで軍事に投入されていたリソースが経済に入って米国は大きく成長した。
詳しくはこれから数回にわたって述べていくが、一時は日本に世界ナンバーワンの座を譲り渡すほどに弱体化した米国経済が、世界最強の地位を回復する道筋をつけたのがレーガンだ。
そして現在、安倍首相も日本再生を掲げており、安倍首相の今後の評価は、強い日本を復活させることができるかどうかにかかってくるに違いない。安倍首相が現在掲げている政策、あるいは安倍首相がたまたま持っているある種の巡り合わせや運、人間的な特性・人柄を併せ考えると、将来レーガンと似たような評価をされる潜在的な可能性がある。
もちろん、直接選挙で選ばれた米国の大統領と議員内閣制の日本の総理大臣を単純に比較することはできない。日米は軍事的にも地政学的にも全く異なる。しかし、一国のリーダーとして、その相似性や相違を考えていくことには意味があるだろう。
例えば、レーガンが大統領に就任したとき、米国は財政と貿易国際収支ともに「双子の赤字」だった。今、日本は戦後最悪の財政赤字であり、貿易収支も赤字に転落している点が似ている。