この秋演奏するヴァーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」、幸い新聞報道なども出て多くの方に関心を持って頂き、心からお礼を申し上げます。東京アートオペラのサイトでチケットをお求め頂けるのですが、今日はこのサイトでは「ご購入頂けないチケット」について、お話ししたいと思います。

記者会見する小中陽太郎・プラザファンデーション理事長。かつて作家・遠藤周作が小説「沈黙」の発想を得たという、江戸時代に長崎で実際に使われていた「踏み絵」を前に細かな説明。右隣は小林宏道理事・多摩美術大学美術館学芸員、後ろは伊藤容子理事・東京アートミュージアム・ファウンダーと筆者

 なぜ「ネットで購入できないチケット」など準備したのか?

 いぶかしく思われる方もおられると思います。東京都は調布市仙川町にある「東京アートミュージアム」に併設された「ミュージアムショップTAMM」の窓口だけでお求め頂けるチケットがあります。

 どうしてそんな非合理な窓口販売?

 その理由は「学生証確認のため」です。全3幕ある楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲、正味の演奏時間だけで5時間近くを要する大作ですが、高校生以下の学生には500円という「ワンコイン」で鑑賞できる特殊なシートを準備しました。

 通常の座席ではなく、床面に座席クッションを敷いた「ジーンズシート」。購入も入場も児童生徒本人に限って、思い切った座席を準備してみたのです。

 「ワンコイン・オペラ」の挑戦

ワンコイン・オペラの「ジーンズシート」は偶然ながらコインと似た形

 9月17日火曜日、仙川の「東京アートミュージアム」で、小さな財団発足の記者会見を開きました。

 一般財団法人プラザ財団、理事長は作家の小中陽太郎さん。小中さんは野村胡堂賞を受賞されたばかりでもあります。

 理事は東京アートミュージアム創設者の伊藤容子さん、多摩美術大学美術館の小林宏道さん、東京大学名誉教授の高辻知義先生、それに私も末席でご一緒しています。

 東京新聞をはじめいくつかの報道が出ているので、すでにご覧頂いた方もおありかと思います。

 このようなメンバーで、芸術・文化・国際交流に特化したプラットホームを、純民間・純個人の枠組み=あらゆる因襲的なしばりから自由に、常に本質にピタリと照準を当て、不況も事業仕分けも無関係に、確かな足取りで進めていきたい・・・。

 そんな思いを持って「プラザファンデーション」を作り、最初に取り組んだプロジェクトの1つが、高辻知義総監督の東京アートオペラ「トリスタンとイゾルデ」というわけです。

 東京新聞は「ワンコイン・オペラ」という見出しを考えてくれました。まさに「ワンコイン・オペラ」の挑戦であります。