ニッケイ新聞 2013年9月4日
三重県が岐阜県と共催し、8月20日に聖市で開催した「ビジネスセミナー&意見交換交流会」。地方自治体による中堅中小企業の海外進出支援の新たな形が垣間見えた。
自治体首長に同行する経済ミッションの交流会は、通常蓋を開けるまで、お互いにどんな企業に会えるのかはわからず、何の下準備もなくその場で名刺交換と立ち話をして終わるケースがほとんどだった。
もしブラジル企業が興味を持ったとしても、帰国後ポルトガル語や英語のやり取りが難しいため、次のステップに進めずに終わってしまっていた。
そこで、県内企業による伯国進出の中長期的な支援をめざす三重県では、その轍を踏まないように現地コンサルタント会社と組んだ。事前にコンサルタントが参加企業の事業内容に関するヒヤリングを行うとともに、ブラジルで展開したい商品も絞り、ポルトガル語で説明書を作成。
それをもとに、ピンポイントで商談につながりそうな同業界のブラジル企業と来場交渉。事前にお互いの情報を交換した上で、意見交換交流会に臨んだ。
その結果、交流会会場ではお互いの事業内容、技術概要に関する熱のこもった説明が展開されるとともに、間に入った現地コンサルタントの誘導のもと、具体的な商談へとスムーズに繋がっていったようだ。
例えば、ブラジルを代表する大手自動車部品(主にライティング)会社ARTEBは「エバ工業」(員弁郡)の持つ自動化技術に興味を持ち、今後具体的な提案や図面を渡し、それをもとにエバ工業が設計・見積もりを提出することになった。
「江南化工」(四日市市)は、完全な同業であるブラジル大手企業DPV社と商談。具体的に3案件で見積もりを提出するとともに、輸出または技術提携に向けて、商談を進める。
「スエヒロEPM」(四日市市)も、製粉・搾油関連のブラジル大手企業IDUGEL社と商談。
スエヒロの持つ技術や商品がブラジルにはないということで、ぜひブラジル用にカスタマイズして販売したいということになり、今回の経済団の団長でもあるスエヒロEPM佐久間裕之代表取締役会長は「お互いの技術をもっとよく知るために、営業部長を近くブラジルに派遣する」と今後の展開に期待を寄せる。