韓国は9月17日から秋夕(チュソク:盂蘭盆)連休の帰省ラッシュが始まる。チュソク連休には、家族が帰省してご先祖様の墓参りをし、チュソク当日はご先祖様の祭祀をする。久々に親族に会って、これまでの暮らしを報告する時期でもある。
韓国は20~30年前までは、亡くなった人を土葬してお椀型の丸いお墓に遺体を収めるのが慣わしだった。先祖代々、山の頂上の畑や近くの小高い丘に墓地を買って埋葬していた。専用の墓地だと除草作業も墓地がやってくれていいのだが、山に墓地を作る場合はそうもいかない。
墓掃除でスズメバチに刺される人が続出
そこで親族の男たちはチュソクの前に駆り出され、ご先祖様のお墓の墓なぎをさせられる。これを韓国語で伐草(ボルチョ:墓の除草作業および掃除)と言う。
最近、芝刈り機で墓の雑草を刈っていると、墓の近くの藪に生息していたスズメバチの巣をつついてしまい、怪我や死亡する事故が相次いだ。
現在、韓国では土葬より火葬の割合が増えており、ここ20~30年の間に亡くなった人は火葬で遺骨となり納骨堂に安置されている人が多いとはいえ、韓国の風習上4代前の祖父母まで墓参りや祭祀をするため、土葬されたお墓の伐草が必要なのだ。
最近は、墓守を代行してくれる会社も多くそこに任せるケースも増えている。それでも墓なぎはご先祖様を大事にするという意味もあるので、代行会社に丸投げするわけにもいかず、どうしても災難に見舞われる人たちが出てしまう。
韓国はここ20~30年の間で葬儀の文化が変わってきた。1990年代の初めは2割しかなかった火葬率が今では7割を超えている。今では、奉安施設が火葬の需要に追いつかないほどだ。
それでも全国には墓地が2100万基あり、墓地面積は国土の1%を占めている。そして、毎年7万基以上増加している。2010年基準で埋葬の場合、かかる費用は平均1916万ウォン(約175万円)、火葬は1390万ウォン(約127万円)だった。
それまでは、生きている人たちの土地が足りないということで、土葬より火葬を勧めていた政府が、今度はもっと土地利用を有効にしようと、自然葬を進めている。