米国で新しい動きが起きている。
9月2日のレーバーデー(労働者の日)に合わせ、ホワイトハウスのインターンたちが正当な対価の支払いを求めてバラク・オバマ大統領に直訴しているのだ。
ワシントンの省庁や議会で働くインターンの数は2万人
民間企業や官庁などでインターンとして働く学生は、米国でも基本的には無給である。今夏ホワイトハウスには約150人のインターンが働いているが、首都ワシントンの省庁や議会を含めると約2万人になる。そのほとんどが無給だ。
歴史的にインターンは無給が当たり前と捉えられてきた。職業経験を得る代わりに、組織内の業務の手助けをするというギブ・アンド・テイクの精神で、インターンが賃金を求めることは稀だった。
筆者も30年前、首都ワシントンでインターンを経験した。当時、すでにインターンは卒業するための必須過程の1つで、インターンの経験なしでは卒業できなかった。もちろん無給である。
だが今春、インターンのあり方を変える事件が起きた。6月11日、ニューヨークの連邦地方裁判所が、企業側にインターンへの賃金の支払いを命じる判決を下したのだ。
訴えを起こしたインターン2人は2010年、映画配給会社フォックス・サーチライト・ピクチャーズ社でインターンシップを行った。業務内容はコーヒー提供やゴミ収集などの雑務。後に2人は会社側に賃金支払いの訴訟を起こし、勝訴したのだ。
勝訴の背景に、ジョージタウン大学ロースクールの学生が原告側に立って会社側の支払い義務を追求したことも大きい。訴訟の国らしく、この判決で全米のインターンに勢いがつき、雪崩現象が起きている。
2日後の6月13日には大手出版社コンデナストのインターンが、「賃金は時給1ドルにも満たなかった」として提訴に踏み切った。
6月17日にはワーナー・ミュージック・グループのインターンが、やはり賃金支払いの訴訟を起こした。このインターンが同社にいたのは5年以上前の2007年10月から2008年5月で、今になっての訴訟である。