北米報知 2013年5月16日21号

 冷凍した食品が、おいしさそのままでいつでも好きなときに楽しめる。北海道でしか食べられない魚が、シアトルで、新鮮な刺身で味わえる。従来の冷蔵庫の機能を超えた、暮らしを豊かにする技術が日本で開発されている。

E-core Global 社に置かれる蔵番(左)を前に長期保存した牛乳パックを見せる朝見さん

 群馬県のMARSカンパニーでは非熱処理(NTP)を用いた冷蔵庫「蔵番」の開発、販売をしている。

 電場を発生させることにより鮮度保持期間を最大3倍に、食品の表面にオゾン層膜を発生させ殺菌除菌のスピードを最大5倍に増大させる。水分子を振動させるので摂氏0度からマイナス2度の低温でも食材が凍らず、低温保存が可能となる。

 同社はまたシースノーアイスと呼ばれる特別な形状、成分の氷を開発。蔵番と併用して新たな魚の流通システムを試みている。

 過冷却の原理を利用して作られる雪状の細かな氷は、魚の輸送に使われる従来のクラッシュドアイスのように角がないため魚の皮膚を傷つけることがない。

 海水と同じ1%の塩分濃度を保つため、浸透圧によって魚の旨み、塩分等の成分が逃げないという。冷凍するのと同じ保存期間を冷凍せずに保存することができるため、冷凍による細胞のダメージがなく鮮度を保持。輸送コストは電気代等含めて半額になり品質だけでなく効率も良い。

 「蔵番とシースノーアイスを使えば、新鮮な魚を冷凍せずに米国内陸まで輸送できる。米国の食生活を根本的に変えることができる」と、シアトル市内の会社 E-core Global のチーフ・エコロジー・オフィサーの朝見信也さんは語る。

 同社は蔵番の技術を欧米の冷蔵庫メーカーにライセンシングする予定で、現在事業提携へ向けて商談を進めている。実際商品が市場へ出るのは来年の予定という。

 またこの輸送技術は臓器移植への適用も期待されており、すでにラットを用いた実験で成功している。現在8時間が限界となる臓器の輸送時間を22時間まで延ばすことができ、臓器移植の可能性を広げる。