週刊NY生活 2013年5月25日444号

 ニューヨークから日帰りで世界最大級の美しい庭園と個人コレクションで世界最高規模を誇る印象派名画ギャラリーを一度に訪れることができるのはご存知ですか。

ロングウッドガーデンのチューリップ畑(高田撮影)

 今回ご紹介するのは、ニューヨークから車で約2時間半のペンシルバニア州フィラデルフィア郊外にある「ロングウッドガーデン」と、フィラデルフィアの中心地にあるバーンズ財団ギャラリー「バーンズ・コレクション」です。

 ガーデンからギャラリーまでは車で約1時間なので、1日で質の高い2スポットを観光できるお勧め小旅行です。私は車を持っていないため、ニューヨークから2か所を効率良く回ってくれる日帰りバスツアーに参加することにしました。

 早朝に出発し、最初に訪れたロングウッドガーデンは、敷地面積1050エーカー(東京ドーム90個分)のうちの325エーカー(東京ドーム12個分)が一般公開され、年間を通じて1万1000種類もの四季折々の植物を楽しめる庭園です。私が訪れた時期は4月下旬だったので、広大な敷地内に色鮮やかな満開のチューリップを観ることができました。

 チューリップだけでも見応えがありますが、さらに奥に1800平方メートルのコンサバトリー(ガラスで囲まれたガーデンルーム)があります。ここでは豪華な蘭や水仙をはじめ幾種類もの美しい花が咲き、室内は花の香に包まれ、まるで香水のシャワーを浴びているかのようでした。

 温室には世界中から集めた珍しい植物が植えられ、思わず「何だろう」と立ち止まって眺め、時間が経つことを忘れていました。

 5月下旬から9月上旬までは噴水ショー、9月中旬から11月下旬までは紅葉、11月下旬から1月上旬まではクリスマスイルミネーションが楽しめるので、この時期に合わせて訪れるのも良いですね。

フランス近代絵画、“幻のコレクション”も

バーンズ財団ギャラリー館内 Photograph (c) 2012 The Barnes Foundation

 昼食後に向かったのは、昨年に移転しオープンしたばかりのバーンズ財団ギャラリーです。

 ここには、収集家で美術研究家の大富豪アルバート・C・バーンズ氏が収集したフランス近代絵画を中心とする2500点ものコレクションが展示されています。

 ルノアール181点、セザンヌ69点、マティス60点、ピカソ46点、ドガ11点、ゴッホ7点、モネ4点と、フランス印象派の最高傑作が多数揃い、ルノアール所蔵数は世界最大を誇ります。

 日本には「ルノアール」という喫茶店があるように、今でこそ人気の高い印象派絵画ですが、1910年当時のアメリカでは印象派作品の評価は低く、バーンズ氏は批判を受けて以降、コレクションを教育目的以外で門外不出としてきました。