アメリカ海兵隊中型輸送機「MV-22Bオスプレイ」が海上自衛隊の「しもきた」や「ひゅうが」に着艦したり「ひゅうが」の格納庫に収納したりする訓練は、「ドーンブリッツ2013(夜明けの電撃戦2013)」における数々の水陸両用作戦訓練の中でも注目度が最も高い訓練の1つであった。

 そのため、アメリカ海兵隊のウェブサイトでもトップ扱いになったり、海兵隊が撮影した着艦や格納シーンの写真や動画が多数掲載されて関心の高さを示している。

オスプレイの「ひゅうが」着艦をトップで伝える海兵隊公式サイト

 もちろん、日本と違って「オスプレイの危険性」といった過去の神話など話題にしていないアメリカ軍が関心を示しているのは、海兵隊の虎の子であるオスプレイが初めて日本の軍艦に着艦し、さらには格納庫に収納までした、という「歴史的」出来事に対してである。

島嶼奪還にオスプレイが必要?

 昨今、自民党などを中心に「自衛隊にもオスプレイを配備すべきではないだろうか」といったアイデアが現実味を帯びて議論されるようになってきている。

「ひゅうが」に着艦し折り畳みを開始したオスプレイ(写真:米海兵隊)

 2012年、海兵隊が普天間基地の旧式ヘリコプターをオスプレイに交代させるにあたって、オスプレイの安全性に関して侃々諤々の騒ぎをしていた当時と比べると、ようやく「オスプレイの必要性」についての議論が表立って出てきたことは日本の国防にとって大いなる前進と言えよう(参考「なぜオスプレイは日本防衛に必要なのか」「マスコミにつくられた『オスプレイ恐怖症』」、JBpress)。ドーンブリッツ2013でオスプレイが「ひゅうが」や「しもきた」に着艦した経験をさらなる弾みとして、この種の議論がさらに本格化することを期待したい。

 「オスプレイを導入すべきである」という議論の多くは、中国の露骨な尖閣諸島確保の動きに関して、島嶼(離島部)防衛のためには島嶼奪還能力が不可欠であり、そのためには水陸両用部隊が必要となり、そのような部隊にとってオスプレイはなくてはならない装備である、といった理由により自衛隊にもオスプレイを導入すべきであると主張している。このような主張をより単純化して、中国の東シナ海進出に対する抑止力強化のためにオオスプレイを導入せよ、といった論調も少なくない。