前回は、不況にあえぐ日本メーカーとは対照的に、積極的に事業展開で意気盛んな海外の液晶パネルメーカーの動向にフォーカスした。同時に、彼らの旺盛な投資の恩恵を受け、かつ彼らにとって必要不可欠な存在となっている日本企業の動きに触れた。
後編となる今回は、液晶パネルと同様、すっかり世界的なプレゼンスが低下した半導体の分野をチェックする。やはり、海外メーカーの積極投資は凄まじい。また、海外勢の縁の下の力持ちとして日本の高シェア企業が活躍している。
海外勢の設備投資は桁違い
「東芝やルネサスと比較すると、海外勢の設備投資計画はケタ違いのレベルにある」(外資系運用会社アナリスト)・・・。
言うまでもなく、東芝、ルネサス エレクトロニクスと日本企業の名が挙がる分野は半導体だ。前回取り上げた液晶パネルと同様、国内で半導体という言葉が持つイメージは、どちらかと言えばネガティブなものになりがちだ。主要メディアの見出しには、「撤退」や「売却」などの文字が並ぶケースが多い。
一方、海外メーカーの動向はどうか。米インテルのほか、韓国のサムスン電子、台湾のTMSCなど大手は、「インテルの約1兆円を筆頭に、TMSC、サムスンともに6000億~8000億円レベルの新規投資を近々行う」(同)とされる。数百億円レベルの日本勢の新規投資額と比較すれば、文字通り“ケタ違い”の状況なのだ。
前回の高シェア日本企業の記事と同様、今回も半導体製造を巡って海外主要メーカーの間で引っ張りだことなっている日系企業を取り上げる。
液晶パネル製造と同様に、半導体の製造現場でも“オンリーワン”とされる企業は少なくない。まず、半導体そのものを製造する装置。先の液晶パネルでも取り上げたが、東京エレクトロンが圧倒的なシェアを誇る。「製造装置や保守など関連分野を含めれば、世界の主要メーカーを相手に8割程度のシェアがある」(欧州系証券アナリスト)
また、半導体の基礎部分であるウエハーを洗浄する特殊な装置については大日本スクリーン、ウエハーをカットするダイサーについてはディスコ、電子ビームを用いたセムと呼ばれる計測機器では日立ハイテクノロジーズが名を連ねる。また半導体の試験・検査においてはアドバンテストが圧倒的な存在感を誇る。
世界の主要半導体メーカーから見れば地味で裏方的な存在だが、いずれも「独自技術を擁し、かつアフターサービスなどの観点でも、海外同業他社の追随を許さない圧倒的なシェアを持つ日本企業ばかり」(同)である。