また、在日米軍基地のうち、キャンプ座間と横田飛行場に加え、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、嘉手納飛行場、普天間飛行場及びホワイトビーチ地区の計7カ所が「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定(国連軍地位協定)」に基づいて、国連軍施設に指定されている。現在も、必要に応じて、国連軍参加各国が国連軍基地として使用している。
朝鮮半島有事に際し、在日米軍は、地位協定に基づき、これらの基地から国連軍として直ちに参戦することができる。
在韓米軍は、陸上兵力1.7万人、作戦機60機である。一方、在日米軍は沖縄海兵隊を主力とする兵員1.7万人、作戦機140機に加え、第7艦隊の空母を含む艦船20隻(32.3万トン)、艦載機50機である。(数字はいずれも約数)
特に、海空戦力は、在韓米軍より在日米軍が大きく、それらが主力となり、国連軍として、あるいは米韓相互防衛条約の義務を履行するため韓国へ展開する。
韓国は、日本防衛のバッファーゾーン(緩衝地帯)
わが国に対する脅威は、歴史的に、元寇をはじめ、冊封体制下の朝鮮をめぐる清朝中国との対立あるいは朝鮮半島に勢力を拡張しようとしたロシアの南下政策などに見られるように大陸から朝鮮半島を経由してもたらされた。
わが国は、日清戦争(1894~95年)に勝利して、下関条約で清(中国)に朝鮮の独立を認めさせた。その後、日露戦争(1904~05年)を戦い、韓国併合条約によって「日韓併合」(1910年)に踏み切ったのは、朝鮮(大韓帝国)最大政党による「韓日合邦を要求する声明書」などを受け入れるとともに、わが国の安全保障あるいは防衛上の死活的理由からであった。
また今日、主として北朝鮮の核開発問題の解決のため、6者が集まった協議(「6者協議」「6者会合」)が行われている。そのことからも明らかのように、朝鮮半島は、大陸勢力(中国、ロシア)と海洋勢力(日本、米国)との接点に在って、半島国家(韓国、北朝鮮)を含めそれぞれの利害が複雑に交錯し、衝突する地政学的要衝にある。
朝鮮半島が海洋勢力、つまり韓国寄りで統一されることは、北朝鮮と国境を直接接している中国はもとより、ロシアも受け入れない。逆に、大陸勢力、つまり北朝鮮寄りで統一されることは、「喉元に刃を突き付けられる」日本はもとより、米国も受け入れないだろう。
かくして、朝鮮半島の統一は、一向に進展しそうにない。むしろ、北東アジア全体の平和と安定を維持するためには、南北分断の現状維持はやむを得ないと認識している国が多いのではないだろうか。
中国と北朝鮮は、相互参戦を定めた「中朝友好協力相互援助条約」を締結している。朝鮮戦争では、中国が人民義勇軍と称して大部隊(実態は人民解放軍)を送り込んだ。
中国が、第1列島線を突破して第2列島線まで侵出し、西太平洋の覇権確立に向けた軍事行動を起こす場合には、北朝鮮が連携して行動を起こす可能性は極めて高いと見なければならないだろう。その際、米軍が駐留する韓国を素通りして、わが国だけに脅威が及ぶとは考えにくい。