企業のマーケティングメディアをペイドメディア(買うメディア)、オウンドメディア(所有するメディア)、アーンドメディア(評判や信用を得るメディア)の3つに整理し、それぞれの特徴を生かした役割を持たせる「トリプルメディアマーケティング」(参考:『トリプルメディアマーケティング ソーシャルメディア、自社メディア、広告の連携戦』 横山隆治著、インプレスジャパン)。筆者がこの著作を出版した2010年から3年が経ち、POEの活用は進化している。

 そのひとつは、ペイドメディアを使ったコミュニケーション開発を広告クリエイティブ(つまり15秒のCMや15段の新聞広告といった広告フォーマットの中で表現する作業)だけではなく、広告フォーマットを前提としないコミュニケーションコンテンツ開発に拡大し、「情報クリエイティブ」や「ブランデッドコンテンツ」開発が意識的に行われ始めたことだ。

情報クリエイティブ、ブランデッドコンテンツは従来型広告とどう違う?

 「情報クリエイティブ」とは、戦略的PRの視点で、ブランドやそのカテゴリーの情報がメディアに記事化されたり、ソーシャルメディアでキュレーションされやすいようにファクトベースで情報化の作業を行うことだ。

 またブランデッドコンテンツとは、敢えて従来の広告と一線を画し、広告フォーマット内ではできないコミュニケーションコンテンツづくりのことだ。広告の流儀を無視してでも、まずはコンテンツとしての魅力を優先し、ターゲットが自ら体験してくれることを目指す。

図1:広告クリエイティブからブランデッドコンテンツ&情報クリエイティブへ 拡大画像表示

 ブランデッドコンテンツに関しては、多摩美術大学の佐藤達郎教授が下記のように定義している。

 「広告」の形はしていないものの、「広告」としての機能=ブランドのメッセージをドライブする機能を果たしている一連の活動。

 従来の「広告クリエイティブ」が、「生活者にいかにメッセージを与えるか」という視点が根底にあったのに対し、ブランデッドコンテンツはコンテンツとしての魅力があることが最重要であり、「商品が出てくるべき」「商品が大事に扱われるべき」「商品を誉める」「ブランドメッセージが明示的に分かる」「広告として分かりやすい」といった従来の広告クリエイティブの原則にとらわれない。

 また佐藤教授は、「ブランデッドコンテンツの登場は、日々、洪水のように広告メッセージが押し寄せる中、生活者が、『広告っぽいもの』をあからさまに忌避する状況を踏まえ、まず、コンテンツとしての魅力を高め、視聴者の共感を得ることへと、広告のあり方が大きくシフトチェンジしつつあることを物語っている」と著書で語っている。