北米報知 2013年2月21日9号

 オリンピアの州議会で15日、第二次世界大戦中に起きた日系人強制退去と収容所政策といった過ちの再発防止を啓蒙する決議案が提出され、上院、下院両議会とも満場一致での採決となった。

オリンピアの州議会を訪問した地元日系関係者たち。写真=ユージーン・タガワ

 ワ州議会における「デイ・オブ・リメンブランス」は1990年代初めにキップ・トクダ下院議員(当時)によって始められ、毎年、日系議員を中心として支持者が提出する恒例決議となっている。

 今議会では上院にボブ・ハセガワ、スティーブ・ホッブス両議員、下院にシャーロン・富子・サントス、モニカ・ストニアー両議員がいる。

 当日は日系市民協会、二世復員軍人会(NVC)、日系コンサーンズ関係者らが訪問。傍聴席から決議案の採択を見守った。また両議会の開会前にはNVC、シアトル別院仏教会ボーイスカウト第252団が国旗掲揚、NVCのサム・ミツイさん、日本人バプテスト教会のブルックス・アンドリュー牧師があいさつに立った。

 傍聴席には連邦議会にリドレス法案を初めて提案したマイク・ロウリー元州知事や州議会のリドレス議案制定に尽力したジョージ・フレミング元州上院議員、リドレス活動を発足した1人、ヘンリー・ミヤタケさん(83)が姿を見せた。

 決議案は、▽ワシントン州内で強制退去を受けた約1万2000人の日系住民と収容所における生活やその後も続いた偏見や差別、▽二世たちによる米国軍への貢献、▽米国政府を訴えた故ゴードン・ヒラバヤシ氏らによる憲法遵守の大切さと正義感などが盛り込まれ、自由と正義を認識するための今後の教訓として説いている。

 ストニアー議員は叔父4人が日系人部隊に所属、1人が欧州戦線で命を落としたことなど家族の体験を打ち明けた。サントス議員は今年が日系人部隊「第442連隊戦闘団」結成から70年、シアトルを始まりとする「デイ・オブ・リメンブランス」行事の35年、ワシントン州で初めて決議されたリドレス(戦後補償)の関連法決議から30年、収容所政策の謝罪、補償を含めた1988年市民の自由法制定から25年にあたると説明した。

 また、各議員からワシントン州民まで、改めて自由や正義の大切さを問いかける1日として認識されるよう呼びかけられた。

 傍聴席で日系関係者と時間をともにしたロウリー元州知事は若い世代の日系人の姿も多いことに触れ、「彼らに思いが引き継がれているのは素晴らしいこと。人種を問わず、2度と起きないよう、この出来事は忘れてはならない」と語った。

(佐々木 志峰)

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