2007年のユニセフ (国連児童基金)・イノチェンティ研究所調査によると*、オランダの子供たちは先進21カ国中、幸福度第1位に輝いています。ちなみに日本は同調査の「子供が孤独を感じる」という項目で断トツでワースト1位になってしまいました(日本は29.8%で、2位のアイスランドの約3倍です)。
*参考:先進国における子どもの幸せ−国立教育政策研究所(PDF)
幸福感と学力の両立を実現したオランダ
さらにはWHO(世界保健機関)による子供たちの健康行動調査では、「学校の勉強にストレスを感じているか」という質問に対して、北米・ロシア・ヨーロッパを含む35地域の中でオランダは35位。つまり最も子供たちが勉強にストレスを感じていない国ということです。
しかも学力においても2009年度のOECDのPISA(Programme for International Student Assessment)の結果で、欧米の中ではフィンランドに次いで、読解力や数学的リテラシー、科学的リテラシーなどが総合的にバランス良く高位置にランクされています。
一方で経済活動に関しても、1時間当たりの国民総生産額が日本の1.5倍あり、失業率も3.9%という非常に低い値を示しています(2006年OECDデータ)。また、職業訓練においても目立った成果を挙げています。
そんなオランダにおける教育方針は調和の取れた発達に関心を払うことを大前提として、「社会情緒的発達」「運動能力の発達」「認知的な発達」の3つのバランスを取るという考えがあります。
それを実現するために、特に初等教育では「個別指導」「自立学習」「共同学習」が重視されています。
自学自習を勧める教育方針
「個別学指導」は、一人ひとりの子供の能力やテンポに合わせて学びを支え、奨励し、指導する、いわば子供のサイズに合った教育です。既製服を無理やり着せるのではなく、その子の発達状況に応じた教育が行われます。
「自立学習」は、先生の説明がなくても子供が自分で読み、学んだことを復習でき、体得した知識や技能を使って実際に問題を解いていくスタイルです。
そのために個人差に応じた多種多様な教材が用意されています。このような学習は先生の目の届く範囲でなされるため、分からない時にはすぐに先生に質問できるようになっています。