MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
よく噂になっているダイエットに本当に効果があるのか、興味がありませんか?
アラバマ大学バーミングハム校のデビッド・アリソン博士らのグループは先日、メディアや科学論文によく紹介されているダイエットに科学的な根拠が本当にあるのかどうか検討し、医学界のトップジャーナルとして評価されている『New England Journal of Medicine』に報告しました。
博士らは、肥満にまつわる事柄を、以下の3通りに分類しました。
●科学的証拠と矛盾する「神話」:7つ
●科学的証拠を欠いている「推定」:6つ
●科学的な裏付けのある「事実」:9つ
神話
反する事実・根拠があるにもかかわらず、一般的に根強く信じられている肥満の“神話”には次のようなものがあります。
(1)わずかなカロリーの摂取量やエネルギーの消費量の変化が、長期的に大きな体重の変化をもたらす。
事実:半世紀前から言われている「3500kcalルール」というのがあります。3500kcalのカロリーの増減が0.45kgの体重の変化に相当する、というものです。ところが、体重変化は個人差があり、実際もっと少ないと考えられています。
例えば3500kcalルールですと、毎日1マイル(1.6km)歩いて100kcalの消費をすれば5年後に22.7kgの減量になるはずですが、実際は4.5kgの減量です。
(2)現実的な減量目標の設定が大事。
事実:これは妥当そうに思われますが、挑戦的な目標を設定して減量が成功する人もいるものの、実際には、達成不可能な目標によってかえって挫折につながることが多いようです。
(3)ゆっくり体重を減らすことは、急激な減量より優れている。
事実:早く体重を減らした人は、長期的に減量に成功しています。
(4)ダイエットのタイミングの見極め、心構えが大事。
事実:減量しようと思っている人は、みんな心の準備はしているものです。