「生ですり下ろせば、においは出てきます。ただし、多く摂りすぎると胃潰瘍を起こすおそれもあるので、注意が必要です」
関氏が勧めるのは、刻んだニンニクを油で包み込む調理法だ。「スライスしたニンニクを油と混ぜて、それを炒めて油で封じ込めれば、においを保つことができます」と関氏は言う。ニンニクのスライス揚げや、刻みニンニクのオリーブ油炒めなどはこれに当てはまりそうだ。
ニンニクの体への効果を得るには、においを受け入れるのが不可欠であることは承知した。それでもなお、可能ならそのにおいをなるべく早く体から取り除きたい。
「それはみなさん気になるところでしょうが、根本的ににおいをなくすのは無理なのです。これまで、水を摂るのが効果的とか、牛乳のようなタンパク性の物質でにおいをマスクすると効果的といった論文も出てはいます。しかし、根本的には、食べたニンニクのにおいをすぐに除去するのはむずかしいのです」
ニンニクのにおいと、ニンニクの体への効果は直結している。においを体に摂り込むのも、体の健康のためなのだと、考え方を切り替えた方がよさそうだ。
必須ではないけれど体を顕著に変えてくれる
人体には、生きていくうえで摂取しなければならない必須栄養素がある。炭水化物、脂肪、必須アミノ酸、ビタミンなどだ。一方で、ニンニクに含まれる香辛料としての成分は、いずれも必須栄養素ではない。つまり、生きていく上では食べなくてもよいのである。
「しかし、そんなニンニクの中に、体の機能を顕著に変えてくれる作用があるということを考えながら、うまく食事の中に取り入れていくことが、食生活を豊かにする1つの要因になるのではないかと思っています」。そう、関氏は話す。
日本の長い歴史において、ニンニクは人から距離のおかれる食材であり続けた。それは強烈なにおいが災いしてのことだ。しかし、ここ数十年、肉料理や油料理が日本でも広まり、それらの料理との調和を図れる香辛料として役割を果たし始めた。さらに、においが様々な点で健康を増進することも分かってきた。
長い食の歴史の中で、いまはニンニクの転換点。日本の食におけるニンニクの新たな歩みは、始まったばかりなのだ。
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