世界的な金融危機の発生で、外資系の投資銀行や大手金融グループの再編が続いている。つい最近までビジネスシーンを牽引した外資系金融機関だが、多くが日本から撤退を始めているのはご存知の通り。
だが、心情的にはすんなり帰ってもらっては困るというのが筆者の主張。一部の外資が売りっ放しにした超ハイリスクの金融商品が全国各地に埋もれているからだ。
当然、契約書には「顧客の自己責任」の項目が入っているが、首をかしげたくなるような手法で売りつけられたシロモノが多いのだ。外資流 “強欲” ビジネスの一端を紹介する。
「巨大なゴミ箱」はまだ存在する
昨年10月、中堅生保の大和生命が破綻した直後のこと。旧知のネタ元から情報がもたらされた。「大和は氷山の一角にすぎない。まだまだ巨大なゴミ箱が存在する」というのだ。
昨年夏、サブプライムローン問題が突如浮上して以降、世界的なマネーの流れに変調が表れた。主要国株価が急落、高騰を続けていた商品市況も下落に転じた。この間、地方の中堅中小の金融機関が運用でロスを抱え始めたという。
地方組の多くは、地域経済の疲弊で貸出先が減り、資産運用にシフトして収益を底上げしようと企図していた矢先。そこにサブプラ問題が直撃したのだ。傾斜していた運用に穴が開けば、損失を取り戻したいとの願望が出てくる。
そこに目をつけたのが、複数の外資系証券の営業部隊だ。「サブプラ商品など足元にも及ばないハイリスク、かつ複雑な仕組み債が次々に売れていった」(関係筋)という。「リスク管理に厳しいメガバンクを回避し、素人同然の地方金融機関に活路を見出していたフシさえある」(同)
筆者も実際にいくつかの案件に触れた。その中には例えば次のような商品があった。オプション取引の一種で、あらかじめプレミアムを先取りできる代わりに(当初は損失がカバーされたような形式になる)、実態はリスクが無限大に広がる「プットの売り」の原理を応用した商品である。そうした商品を購入していた地方組が少なからずあった。損失にお化粧を施した買い手の責任も重大だが、特大リスクの所在を明確にしない販売手法には首をかしげるばかりだ。
2008年9月中間決算では、業績予想の下方修正に追い込まれた地方組が続出したが、今秋の世界的な金融クライシスを勘案した数値は含まれていない。もちろん、「損を取り戻すために買った商品」が抱えるリスクは反映されていない。
冒頭のネタ元が指摘する「巨大なゴミ箱」とは、地雷原と化す懸念を抱えた超ハイリスク商品群、そしてその受け皿となった多くの地方組を指している。