2013年2月25日に発足する韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権では、これまでの大企業に対する優遇税制の存廃議論が浮上する可能性がある。
朴槿恵氏自身は法人税率そのものは据え置くことを示唆しているが、各種優遇税制の恩恵が一部大企業に集中しているとの指摘には神経をとがらしている。
安い電気料金、ウォン安と並ぶ「ビジネスフレンドリー政策」
低い法人税率は、安い電気料金、ウォン安と並んで日本企業が羨む韓国の「ビジネスフレンドリー政策」だった。昨年秋からウォン高が急速に進んでいることに加え、税制にも変化が出るのか。日本企業にとっても気になる点である。
「サムスン電子はどうして2兆ウォン(1円=12ウォン)を返してもらうのか」――。最近、大手総合週刊誌「週刊朝鮮」(2013年1月21-27日号)にこんなカバーストーリーが掲載された。
韓国の最大最強企業であるサムスン電子の法人税に関する記事だ。同社は2012年12月決算で売上高201兆ウォン、営業利益29兆ウォンという過去最高の決算を記録した。
韓国の法人税率は22%(地方税を合わせると24.2%)で、本来なら6兆3000億ウォン程度の税金を払う必要があるが、同誌によると「これよりずっと少ない税金だけを払う公算が大きい」という。
同社は2011年12月決算でも16兆2400億ウォンもの営業利益を上げた。法人税は3兆5000億ウォンのはずだが、実際にはいくらの法人税を支払ったのか。同誌は「独自取材」の結果として「2兆ウォン程度だった」と見ている。
サムスン電子が実際に払う法人税はいくらか?
この数字が正しいとするならば、法人税率は12%弱になる。同誌は「3年ほど前に調査した際にはサムスン電子に対する法人税実効税率は11%程度だった」との野党国会議員のコメントも掲載している。
同誌は一方で、実際にはこれほどまでには低くないとの見方も示している。「大企業に対する税額控除が行きすぎだという理由で政府が法人税最低限税率(15%)を導入したため」だという。この規定が適用された場合にサムスン電子は今年、「2兆ウォンを返してもらう」という。