新しい年の2013年、日本にとって対外関係で最も気がかりなのは米国、中国との関係だろう。

 米国は日本の防衛にも責任を持つ同盟国だから、対米関係を堅固に保持することの重要性は言うまでもない。重要ではあるが、その具体的な対応については、日本側での迷いはあまりないだろう。いま存在する確実な同盟関係をそのままに保つ、あるいは強めていく、ということである。

 ところが日本にとっての中国との関係はもっとずっと難しくなる。日中関係には険悪な対立要因が多々あり、どうなるか分からない部分が多いからである。

 特に中国自体が日本に対してどんな政策を打ち出してくるかがなかなか予測できない。不確実性というのが日本にとっての対中関係の特徴なのである。

「可燃性が高い」日中関係

 ではそんな不安定な日中関係を米国はどう見ているのか。

 その点の分析をまとめた報告が、米国の国防大学「国際戦略研究所(INSS)」から発表された。その核心は以下のようなものだった。

 「日中関係には構造的に阻害要因が存在し、基本的な改善は当面抑えられたままとなる。だから悪化は避けられない」

 かなり悲観的な見通しである。

 しかし同報告は、日中関係の悪化への最有効な対策として「日米同盟の強化と日本の防衛の強化」を挙げていた。

 誰でも指摘できるような平凡な対策のようにも響くが、米側の専門家集団としても、やはり日米同盟の強化こそが最善の対中政策だというのである。

 この報告は「日中関係2005年から2010年」と題されていた。国際戦略研究所のジェームズ・プリシュタップ上級研究員が中心となって作成した。プリシュタップ氏は米国歴代政権の国務、国防両省や議会で過去30年以上、日本や東アジアを対象に政策の研究や形成を続けてきたベテラン専門家である。

 さて、日中関係の現状や展望を分析したこの報告は、いまから2年前の2010年までを総括しているが、その時期の状況は現在に酷似している。しかも2年前の予測が現状をぴたりと当てている点が面白いと言える。