ニッケイ新聞 2012年12月15日
ようやく22年の苦労が実る――。
高級木材として世界的に需要が高く、乱伐や違法伐採の横行により2001年から国立自然環境保護院(IBAMA)により全伯で伐採・販売が無条件に禁じられていたマホガニー。その植栽に成功したパラー州カスタニャール市の岡島博さん(70、群馬、北伯群馬県人会長)は「30年の資本と労力を費やす大事業に、何の見返りもないなんて」と3年間必死の訴えを続けてきた。
その努力が今年6月に報われ、同州環境局(SEMA)からブラジル・マホガニーとアフリカン・マホガニーの部分的な伐採許可をついに手にした。
マホガニーは木目の美しさや耐久性の高さ、加工性の高さなどから「緑の黄金」「世界の三大銘木」とも呼ばれ、伯国産の約7割は輸出に向けられ、高値で取引されてきた。
岡島さんは「日本人移住者として精一杯生き、経済的、社会的、環境的に社会に貢献したい」と1992年、不可能といわれていたマホガニーの植栽を始め、胡椒との混植で200ヘクタールの土地に2万2600本の植林に成功した。しかし冒頭の法改正により一切の伐採が不可能に。
今回の許可を受け、「周りからも20年間を無駄にして『おまえ馬鹿だな』といわれて来たが、これで『悔しがるなよ』と言えるようになった。これから他の植林家の間でも植林が始まるだろう」と喜んでいる。更に、今後は輸出解禁に向けて働きかけたいとしている。
現在、よく成長したもので周囲1米60センチほどになる。本来の材質の良さを最大限引き出すため、成木になる30年後の2021年ごろに製品化する予定だ。
伐採許可は申請した人に限り与えられるが、「まだ業界内でも周知が十分でなく、今後価格相場がどうなるかは分からない」という。
岡島さんは「皆に植えてもらうのが自分の目的。これからも植林を続けていくが、種を欲しい人や質問がある人は、いつでも応じる」と話している。
連絡先は電話=91・8802・0691、メールはokajima@linknet.com.br
(ニッケイ新聞・本紙記事の無断転載を禁じます。JBpressではニッケイ新聞の許可を得て転載しています)