1996年、衆議院の小選挙区比例代表並立制が始まってから、第一党が全議席の6割を超える大勝利は、5回あった選挙のうち3回ありました。2005年の小泉郵政改革のかかった総選挙と、2009年の民主党が政権をとった総選挙、そして今回です。1政党の大勝利は、別の政党の大敗北を意味しました。

 風が吹いた政党にいないと勝てない・・・。過去2回の選挙がそんな状態だったからでしょう。小沢一郎についていった「国民の生活が第一」転じて日本未来の党に行った人は別として、今回の選挙では所属していた党を離党して、風が吹きそうな政党に鞍替えする議員が続出しました。

 3年前に特定の主張をしていた人が、考えを変えて今は別のことを言っているのは、問題ではありません。しかし、沈みゆく船から逃げ出すようなタイミングで離党した議員を高く評価する人はいないのではないでしょうか?

軍から恨まれ軽蔑されると皇帝でも殺された

 <君主は人の恨みを買ったり軽蔑されたりするのを避けなければならない。>

(『君主論』、マキアヴェリ著、池田廉訳 中公文庫)

 

 上記引用文は、君主論の白眉とも言える箴言として有名ですが、恨みと軽蔑こそが君主に危害を加えようとする者の2大動機なので、絶対に避けろ、とマキァヴェッリは言います。

 その例としてマキァヴェッリは、哲人皇帝と言われたマルクス帝からマクスミヌス帝まで、10世代の帝政ローマ皇帝を例にして説明します。

 下の表をご覧下さい。挙げられている皇帝10人のうち、天寿を全うできた人はわずか2人で、8人はローマ軍によって殺されています。ここに挙げられていない、マクシミヌス以降の皇帝も状況はそう変わりません。

歴代皇帝の死因と軍・民衆との関係