マット安川 奇しくもこの日(11月16日)、衆議院解散。福島第一原発事故によって帰還困難区域とされ、バリケードが築かれた飯舘村(いいたてむら)長泥(ながどろ)地区の鴫原良友区長をスタジオにお迎えしました。現地の実情やいい加減な政治・行政、現地でいま本当に必要とされているものなどを伺うと、政局をかなり冷めた目で見てしまいます。
進んだのは時間だけ。復興を早く進めてほしいのに、今解散?
福島県相馬郡飯舘村・長泥区長
(撮影:前田せいめい、以下同)
鴫原 最近、もう忘れられたのかなって思います。前は支援物資が送られてきたし、メディアもよく被災地を取り上げてくれた。そういうことをほとんど見なくなりました。
政治家の人たちもそうです。去年は国会議員も、大臣クラスの人も飯舘村に来てくれたもんですが、今年に入ってからはさっぱり来ない。今じゃ選挙に向けて陣取り合戦ばっかりやってます。被災地のことなんか、ほんとに考えてんのかな。
仮設に入ってね、ああいう狭いところで暮らしてる人なんて、怒りたくても怒る気力がわかないんです。あきれかえって力が出ない。
復興はどこまで進んだかと聞かれても、困るんですよ。進んだのは時間だけ。この半年なんか、除染も賠償もいろんなことがみんなストップしてます。除染で出た汚染土の仮置き場もまだできてない。
申し訳ない言い方だけど、放射能が残ってる福島はほかの被災地とはちょっと違うんだ。まだ復興のスタートラインにも立ってない。
何年経ったら除染が済んで、復興をスタートできるのか、村に戻れるまでに何年かかるのか? 国がそういう道筋を決めてくれないと県も村も動けないし、私たちは希望を持てない。なのに今ごろ解散するっていうんですからね。
国が滅んだら復興も何もできなくなるんで、まず健全な日本をつくってもらわないといけないとは思う。でもそれと一緒くらいに復興のことも考えてもらいたいと思います。
平等に、みんな一緒に手をつないで復興するなんてのは無理なんです。だれかから不平不満が出るかもしれないけど、それを引き受ける覚悟を持ってこうするんだというビジョンを示してほしい。
あと、これから政治家になろうという人には、ちゃんと責任を取れるように行動してほしいと思います。今は政治家も東電みたいな大きい会社の社長も、みんな責任を取りませんから。