共産党中央政治局常務委員の7人が正式に決まった。多くが「江沢民派」と「太子党」で、純粋の「胡錦濤系」は李克強のみ。市場では守旧勢力の跋扈に失望の声も聞かれるが、「中国株式会社」にとって今回の人事は吉なのか、凶なのか。いつもながら筆者の勝手な独断と偏見をご披露しよう。(文中敬称略)
失望と落胆?
今回の人事は昔の自民党と同じ「コップの中の嵐」だ。確かに共産党内では10年に1度の大事件。だが、非共産党員たる12億強の一般中国人はこれを冷ややかに見ているはずだ。
最近経営が傾き始めたこの巨大な非上場企業、官僚化した経営陣にいまさら何ができるだろう。
そもそも彼らは本当に「江沢民派」「上海閥」なのか。
天邪鬼の筆者は大いに疑問だ。齢86の老人が現在も現役で派閥を率いているとは思えない。仮にそうであっても、江沢民はいずれ消える。将来ある共産党若手なら、既にポスト江沢民の道を模索しているだろう。
既得権を継承して既存派閥の次期ボスを目指すか。それとも、新たな利権を発掘・獲得し新派閥を自ら立ち上げるか。手法は様々だろうが、もし、1人の人間だけに忠誠を誓い最後まで二股をかけない中国の政治家がいるとすれば、是非一度お目にかかりたいものだ。
筆者は、「江沢民派」「太子党」「胡錦濤派」の対立などという単純な説明を信じない。
要は、党内に「江沢民派」と呼ばれる既得権益を死守する別々の諸集団と、その既得権を一部でも制限しようとするグループがいるだけの話。彼らは所詮「同じ穴の狢」と見るべきだ。