2012年、4月~9月にかけての航空自衛隊のスクランブルは209回と、上半期としてはこの10年間で最多だったという。

 空自では24時間365日、パイロットをはじめ整備にあたる隊員さんや後方支援の方々などが一丸となって国土防衛のために睨みを利かせてくれているが、こうした厳しい情勢に鑑みても、航空優勢を保つための他国に秀でた戦闘機保有は欠かせない。

 しかし、繰り返し述べているが、どんなに優秀な人材がいても、どんなに優れた戦闘機を持っていても、たった1つの部品がないだけで、この防衛体制は瞬時に崩れる。

 ほんの小さな不足が致命傷となる。これは先の大戦で、飛び立てない飛行機が駐機場に並び、そこを爆撃されたという苦い経過からよく学んだはずであり、そうならないためにも国内生産・技術基盤維持の重要性を再認識する必要があると訴えてきた。

F35、4機購入で正式契約 本体1機96億円

航空自衛隊の次期主力戦闘機に決定した「F-35」〔AFPBB News

 そんな中、空自の次期戦闘機は「F-35」に決まった。

 国産戦闘機というわけにはいかないまでも、同機の最終組み立ては三菱重工業が担えることになり(どの程度、分担させてもらえるかという問題はあるが)、さらに在日米軍機についても同社が修理や整備を請け負う可能性があると日本経済新聞により報じられ、そうなれば三菱重工業のみならず関係する1000社以上のベンダー企業の活性化にも繋がるであろうから、国内産業維持のためにも朗報だと言える。

部品や整備の状況がリアルタイムで米ロッキード・マーティンに

 一方で世界に目を向けてみると、すでに装備品に対する考え方が新たなタームに入りつつあり、もはや「国内基盤」という概念だけでは通用しない現実を見せつけられるのである。

 F-35は米国やイギリス、オランダ、カナダ、イタリア、デンマーク、トルコ、オーストラリア、ノルウェーによる共同開発であり、そもそも日本はそこに加わっておらず、立ち位置からして後れを取っている。