モンゴルとインドをつなぐものがどこにあるかと言えば、古くはムガル帝国が挙げられるだろうが、やはり何よりも仏教であろう。

 何しろムガル帝国の建国者がチンギスハンの子孫であることを主張している(実際は外戚)。ムガルという名前からして「モンゴル」がなまったものである。

仏教の強い影響を受ける国

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インドのタージマハル(写真)はムガル帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーンが17世紀、14人目の子供の出産で死亡した王妃ムムターズ・マハルの霊廟として建築したもの〔AFPBB News

 仏教はインドで生まれた。一度は大いに栄えたが、現在、インドにおいて中心的な位置を占めている宗教とは必ずしも言えない。とはいえ、日本をはじめ、様々な国で信仰されており、その影響力は絶大である。

 モンゴルもそのような影響を受ける国の1つに挙げられる。

 特に、社会主義体制が終わり、イデオロギー的な締め付けはなくなり、自由になったが、経済的には困窮し日々の暮らしの辛さにあえぐ中で、仏教は多くの人の心の支えとなった。

 もちろんその他の宗教を信仰する人もいて、モンゴルにはモルモン教をはじめ多くの今まで存在しなかった宗派の寺院や、場合によってはアパートの一室を変えた礼拝場などが存在している。

 言うまでもないことかもしれないが、社会主義以前においても、仏教は大きな影響力を持っていた。その経緯については「ダライ・ラマがモンゴルに転生する? 遠くて極めて近いチベットとモンゴルの関係」に述べた通りである。

ダライ・ラマの教育を受け持った高僧も

 チベットにはモンゴルや、ロシアからはモンゴル系の人々が僧侶として多く学びに行き、場合によってはロシアのモンゴル系の民族ブリヤート出身のアルワン・ドルジエフのようにダライ・ラマの教育係を務めるほどの高位に就いた者もいた。

 今年9月初め、国際学会参加のため、私は初めてインドはコルカタ(カルカッタ)を訪れた。機会があれば訪れたい土地であったが、その機会がなかなかなく、今回がようやくである。

 インドを訪れた人は、インドが大好きになるか、大嫌いになるかのどちらかだとよく言われるが、今回訪れてみて、何でもっと早く来ることができなかったのかと後悔した。