デジタルマーケティングを遂行する上で活用できる様々なアドテクノロジーについて、マーケターもしっかり知る必要が出てきた。
従来、日本ではIT投資は業務プロセスなどどちらかというと「守り」の領域ばかりで行われてきた。一方欧米では、営業・マーケティング部門への「攻め」のIT投資も積極的に行われている。よって日本では基幹システムを保守する情報システム部署の人はマーケティングに疎く、営業マーケティング部門の人がITに疎いということが起きている。
そして、今論じられているアドテクノロジーなるものは明らかに「攻め」のIT投資であり、営業・マーケティングの担当者が使いこなさなければいけないものだ。
日本企業の場合、情報システム系の人材は経理などの管理系人材により近く、営業現場、マーケティング担当者という人材とは遠い。従って、システムの分かる営業・マーケターが育ちにくい環境にある。
経営者はもっと意識的に、テクノロジーと営業・マーケティングの両方を理解する人材の育成に努力しなければならない。人事政策も、マーケティング担当者をテクノロジーを含めた知見を持つ専門職として育成し、スキルが受け継がれる仕組みを作らなければならない。
従来の宣伝部は「買い付け」部門とされ、3~5年のローテーション人事で営業へ異動、という感覚だった。これでは育った知見が会社として共有されにくく、実に「もったいない」ことをしている。
さて、マーケティングの遂行にテクノロジーもしくはアドテクノロジーと呼ばれるものが必要とされる時代となってきた。ビッグデータの時代ともなれば、人間の頭脳(経験や勘)で差配できる時代ではなく、データを取得し、データをもって判断し、実行していくという業務遂行プロセスが重要になっている。
多くの日本企業は、データ取得のためのツール(例えばアクセス解析ツール)を導入しているが、データの測定はしているものの、そのデータが一定の閾値を超えたら「どう手を打つか」を事前にプログラムしている企業は非常に少ない。
データを基に何らかの判断がされ、実行されなければ、測定する意味がない。しかしデータは出てくるものの、社内の力学や政治があるので、「そうは言ってもやはりね~」と、実態を変えて動かすに至らないことが多い。
こうしたことは基本的に経営者の責任で、トップがこれら経営判断の材料になるデータ取得が可能であることを認識し、データによる施策実行の判断をする企業文化をつくらなければならない。