反日デモから1週間後の9月23日、嵐が去った後の上海の街は、打って変わって平穏な日曜日を迎えた。日本人家族の外出も見られ、あちこちでは日本語の会話も聞かれるようになった。日系企業の業務も「平常通り」に切り替わった。

 マスコミの報道は「国恥記念日」として懸念された9月18日をピークにトーンダウンした。中国メディアは日本国民にマイクを向け、「中国の経済制裁を受けてどれだけ困っているか」と平和的解決を“懇願”する日本人を映し出す。関係修復に向けて動き出したようにも見える。

 だが、実際には関係修復は容易ではない。

 9月25日、外務省の河相周夫事務次官は、北京で中国外交部の張志軍筆頭次官と会談した。日本では、張次官の「幻想を捨て、深く反省し、実際の行動で誤りを正さなければならない」との発言を取り上げ、中国が「両国指導者が達成した共通認識に戻ることを要求」していると伝えられた。

 一方、中国では会談を「成果なし」と伝え、あくまでも領土問題の存在を否定する日本側の態度を「中国側の厳正な交渉を顧みないもの」とし、続く26日の日中外相会談でも対立は打開できずに終わった。

 双方は協議継続で一致したものの、「棚上げ」の状態にしたい中国と、「領土問題は存在しない」とする日本は、今後も平行線をたどる可能性が強い。

日本は「複合的かつ重層的制裁」を覚悟せよ

 日本に対する制裁の長期化も免れず、日本は外交、政治、経済、軍事を絡めた「複合的かつ重層的な制裁」を覚悟しなければならない。

 中国語で「組合拳(zuhequan)」と表現される中国の「複合的かつ重層的制裁」は、あっと言う間に国民の愛国心を焚きつけ、日本を追い詰めた。

 振り返れば、中国は短期間にざっとこれだけのアクションに出た(主に中国の報道を参考に列挙した)。

【9月10日(火)】

「魚釣島の主権を絶対に譲歩しない」と中国外交部が声明。