最近、私は非常に憂えている。オスプレイ、尖閣問題・・・国防を巡る案件はいろいろあり、考え始めるときりがないが、極めつけは陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UH-X」をめぐる一件だ。
新聞各紙によれば、9月4日に東京地検特捜部は防衛省や川崎重工などを家宅捜索し、官製談合防止法違反などの疑いで捜査が進められているという。
日本人は、自分たちの生まれた国が直面している危機よりも、むしろこの「税金が無駄遣いされているのではないか」という類の報道に大きく反応しているように見えるのは気のせいだろうか。
遅れている「UH-X」の配備がさらに遅くなる?
来日したパネッタ米国防長官は尖閣諸島を巡る問題について暴力や衝突が起こる懸念を示し、9月18日の柳条湖事件の発生日に合わせて中国漁船1000隻が大挙して同海域に向かうなど、日本は今まさに一触即発の場面に置かれている。
普通の国は、防衛力強化のために必死になるはずだが、日本はお世辞にもそうは言えない。尖閣諸島の国有化がなされたが、それは抑止力とは別のものである。
平成25年度予算概算要求は南西防衛を意識したものとなり、そのための新しい装備購入に向けた予算も組み込まれたが、全体として抑制傾向にあることは変わらない。
現政権はここで「こんな防衛費でいいのか!」と、縮小に歯止めをかけるべく防衛省に促したらどうだろうか。
とにかく、こうした状況の中で、自衛隊の装備に関して配備がなされないなどの状況は許されないだろう。もちろん、米海兵隊のオスプレイ然りである。
そんな中、陸自の次期多用途ヘリ「UH-X事件」は浮上した。
これにより、ただでさえ3年遅れとなっていたUH-Xの配備がさらに遅れ、その間にも現有の「UH-1J」は退役することを考えれば、その空白をどう補填するのか、極めて深刻な問題だ。