5月28日に総務省から発表された4月の全国消費者物価指数(全国CPI)は、「生鮮食品を除く総合」(コア)ベースで前年同月比▲1.5%。マイナス幅は前月から0.3%ポイント拡大した。高校授業料の実質無償化に伴うCPI品目「公立高校授業料」「私立高校授業料」の下落が主因で、それぞれの押し下げ寄与度が▲0.41%ポイント、▲0.13%ポイント、計▲0.54%ポイントであることを、総務省が確認した。コア前年同月比の押し下げには、上記のほか、「被服及び履物」などが寄与した。一方、押し上げに寄与したのは、「外国パック旅行」「生鮮食品を除く食料」「灯油」などである。
国際商品市況の変動に影響されやすい品目の除去によって消費者物価の基調をより明確に示している「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」(いわゆる欧米型コア)は、前年同月比▲1.6%。マイナス幅は前月から0.5%ポイント拡大した(高校授業料無償化要因の押し下げ寄与度は▲0.78%ポイント)。
CPIの足元の方向を把握する上で使い勝手がよい季節調整済指数(2005年=100)は、コアが99.3(前月比▲0.5%)、欧米型コアが97.3(同▲0.6%)になった。
5月の東京都区部消費者物価指数(全国CPI)は、「生鮮食品を除く総合」(コア)が前年同月比▲1.6%。マイナス幅は前月から0.3%ポイント縮小した。その主因はエネルギー関連。コア前年同月比の押し上げに寄与した品目は「電気代」「都市ガス代」「ガソリン」「家賃」など。押し下げに寄与した品目は「生鮮食品を除く食料」「被服及び履物」などである。
「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」(いわゆる欧米型コア)を見ると、前年同月比▲1.4%で、マイナス幅は前月から変わらなかった。
そして、季節調整済指数(2005年=100)は、コアが98.6(前月比▲0.2%)、欧米型コアが97.4(同▲0.3%)になった。高校授業料無償化要因を織り込んだ前回4月分からさらに下がっているわけで、CPIの根幹部分のトレンドは引き続き下向きであることに留意されたい(図表6参照)。