福島第一原発の事故以降、世界的に「脱原発」実現の可能性が探られているのはご存じの通り。
その中で、太陽光や風力発電など再生可能エネルギーへの注目度も上がっているが、現実問題としてコスト高という問題点はクリアされていない。そこで比較的安価とされる天然ガス、特に「シェールガス」への注目度が上がり続けている。
シェールガスは日本にとっての救世主となり得るのか。日本企業の動向をまじえて考えてみる。
注目を浴びる「シェールガス銘柄」
2000年以降、米国で開発が活発化したのがシェールガスだ。地中深い岩盤層に埋まった頁岩(けつがん=「シェール」)から採掘する天然ガスだ。
米国では、天然ガス全体の生産量のうち、シェールガスの占める割合は2000年当時2%程度だったが、今年は25%を超えるなど、その比重が格段に増している。
米国だけでなく、カナダやオーストラリアなどでもシェールガスの埋蔵が確認されており、「今後20年ぐらいはガスの時代」(証券会社エコノミスト)とする見方も増えてきた。
現在、株式市場では、シェールガスの権益に食い込んでいる日本企業への注目度が上がっている。米テキサス州で開発に着手した住友商事や、カナダ企業の保有するシェールガスの権益を4割取得することを決めた三菱商事など大手商社が先鞭をつけた。
また、ガス採掘向けパイプで世界シェア上位の住友金属工業、液化したガスを運搬する専用船舶を製造する三菱重工業、川崎重工業も“シェールガス銘柄”として注目されている。
また、採掘したガスを運搬用に液化するプラント技術に関しては、日揮と千代田化工建設が圧倒的な存在感を誇っている。