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ジェームズ・ボンド（ダニエル・クレイグ）にエスコートされ、バッキンガム宮殿からヘリへと乗り込んだエリザベス女王（本物）が、大歓声に湧き立つオリンピックスタジアムにスカイダイビングで降り立ち、ロンドンオリンピック開会を宣言した。
007やミスタービーンも登場した開会式
スタジアムではサイモン・ラトルが指揮するロンドン交響楽団の『炎のランナー』（1981）のテーマ曲の演奏が始まる。1924年、パリ・オリンピックで活躍した英国人金メダリストを描いた傑作だ。
ところがよく見ると、オケのメンバーの中にミスタービーン（ローワン・アトキンソン）が紛れ込んでいる。怪しげなキーボード演奏をしながら、インチキしてチャッカリレースに勝利してしまう妄想にふけり、にやけているではないか。
映像と現実をミックスした開会式のこの楽しい演出は、以前ご紹介した『スラムドッグ＄ミリオネア』（2008）や『127時間』（2010）などの異色作で知られるダニー・ボイルによるもの。
MGMの破産などで随分と待たされた007の最新作「スカイフォール」の題名との類似性もあり、いまだ全貌の分からぬ新作への期待も高まる。
続いて始まった204の参加国・地域の選手入場行進。そこで特に目をひいたのがサウジアラビア、カタール、ブルネイといったイスラム教国の女性アスリートの姿。
ラマダンに重なったオリンピック
ジャック・ロゲIOC会長も「オリンピック史上はじめて、参加チームすべてに女性選手がいる。男女平等が大きく推進する」と歓迎している。
しかし、そうした変化を見せつつあるイスラム諸国の人々は、今回のオリンピックに少々不満があるようだ。開催期間がラマダンに重なるからだ。
太陰暦であるヒジュラ暦（イスラム暦）の第9月にあたるラマダンは、西暦では毎年11日ほど前にずれていくのだが、今年は7月20日から8月19日あたりとなる。
日程は事前に検討したうえで決まったものだと言われても、シドニーやソウルは9月下旬開催だったわけだし、これからしばらく夏のオリンピックシーズンに重なることもないのだから、何らかの代替案があったよう思えるわけである。
