ロンドンオリンピック2012が開幕し、各種競技で連日熱戦が繰り広げられている。日本初の金メダルを柔道女子57キロ級の松本薫が獲得した瞬間から、僕のツイッターのタイムラインやフェイスブックのニュースフィードは、それをたたえ、喜びを共有し合う投稿で埋め尽くされた。
SNSで楽しむオリンピック。「ソーシャリンピック」という造語も
競技や選手に関するニュースもさることながら、今回のオリンピックにおけるトピックとして目立つのが、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアが大規模に活用される初めてのオリンピックであるということだ。
こういうトピックを表現する時にはつきものの造語(SocialとOlympicsを掛け合わせた「ソーシャリンピックス」)も生まれ、実際のところ、世界中の観衆、スポンサー企業ともども、ソーシャルメディアをオリンピックへの重要な参加手段と見なし始めている。
そしてその現象自体があちらこちらのメディアでネタ化し、ロンドンオリンピックにおけるスポンサー企業のソーシャルメディア活用度を数値化、ランキングを日々発表する THE LONDON 2012 SOCIAL SCOREBOARD というものまで登場している。
確かに、ソーシャルメディアとその利用を支えるスマートフォンの普及率の高さは過去のオリンピックにはなかったものであり、その点ではロンドンオリンピックが「スポーツのソーシャル化」というパラダイムシフトを明示する記念すべきイベントになったことは間違いない。
一方、「スポーツのソーシャル化」はこのロンドンオリンピックによって顕著にはなったものの、ロンドンオリンピックによって実現されたわけではない。
もともと、2000年代半ば頃からブログ、2000年代後半からはツイッターやフェイスブックで多くのスポーツ選手がソーシャルメディア内で情報発信やファンとの交流を行うようになり始めていた。
2010年にツイッターを始めたブラジルのサッカー選手であるカカは、世界最多の1200万人を超えるフォロワー(2012年7月30日時点)に直接情報発信を行っているが、そのような有名選手に限らず、またプロ・アマチュア問わず、いまや数えきれないくらい多くのスポーツ選手がソーシャルメディアに参加している。
また、大・中・小各規模のスポーツ大会やスポーツ団体も同様だ。その下地がある中でロンドンオリンピックが開催されたからこそ、“ソーシャリンピックス”も成立するわけだ。