2012年6月28日、4年に1回の総選挙が行われた。モンゴルの総選挙は今回で6回目である。モンゴルに新しい体制が生まれようとしている。
日本では民主党が分裂しつつあるようだが、モンゴルではようやく今、日本の民主党と同じ新興勢力である民主党が何度か失敗を経験しながら、新しい体制を作り上げようとしているようだ。
第1党となった民主党だが過半数には届かず
開票の結果、76議席中、民主党が31議席(選挙前27議席)を占めて第1党、政権の座にあった人民党(2010年11月に党名を人民革命党から変更)が25議席(選挙前41議席)で第2党となった。
なお、人民革命党から人民党への党名の変更を不服として独立し、新たに結党した人民革命党が国民民主党と組んで結成した「公正選挙連合」が11議席を獲得し、第3党となっている。
第1党とはいえ過半数を占めることができなかった民主党は、他党との連立を模索、7月18日の時事通信の報道では第3党である人民革命党との連立政権を組み民主党党首のアルタンホヤグ氏が首相となるとの報道がなされている。
モンゴル通信社でも、7月22日、民主党の幹部会でこの連立政権が承認されたことが報道された。
今回の選挙の争点となっていたのは、汚職問題である。特に、鉱山利権に絡むものだった。フェイスブックなどでは、投票前、モンゴルの地図に、様々な国の旗が立てられ、これらの地下資源がほかの国に売られているといった意見が盛んに回覧されていた。
地下資源を巡る不公正を指弾する動きは、今までもあった。
しかし今回、汚職問題が大きな争点となったのは、現政権下で契約がまとめられたモンゴル最大級の銅鉱床であるオユートルゴイの開発が本格化し、経済の急速な発展が見込まれる中で、確実にその利益を得られるものとそうでないものの対立が先鋭化しているということなのかもしれない。
前回の総選挙後には大混乱招く
前回の第5回総選挙は4年前の2008年に行われた。
この時、人民党(当時はまだ人民革命党)は圧勝し、第1党となった。この選挙結果に対し、6月30日、当時の民主党党首であったエルベクドルジは不服である旨を発表した。
その動きに呼応するように町ではデモ隊が組織された。7月1日になるとそれらのデモ隊が暴徒化して人民革命党本部ビルになだれ込み、火災が発生、この混乱の中で5人が死亡、党本部ビルが全焼した。