今週から始まる第3部では「離婚」について解説していきます。第2部では、「なぜ結婚がうまくいかないのか?」とのテーマで、10の理由を検討しました。第3部では、まず離婚の実態を取り上げ、来週からは、「なぜ離婚しないのか?」を解説します。
うまくいっていない結婚であるのに、なぜ離婚に踏み切らないのか、その心理を探ります。
離婚件数は必ずしも上昇しているわけではない
まず今週は、離婚の現状を知っていただきたいと思います。離婚に関する政府統計も増えてきたので、グラフで傾向が分かります。
下の図は1947年から2010年までの離婚件数の推移に関するグラフです。ご覧の通り、離婚件数は右肩上がりの一直線というわけではなく、2002年をピークにやや減少しています。
2010年では25万件あまりで、婚姻数と比較するとカップルの3分の1が離婚している計算になります。
明治時代が実は離婚が非常に高かったのですが、その後漸減して、太平洋戦争後の1947年から、図のようになったという次第です。大まかに言えば、明治維新から現在までの傾向としてはUカーブを描いている感じです。
明治時代に離婚率が高かった理由は、離婚に関する法制が整備されておらず、慣習によるところが多くて、比較的自由に離婚が行われていたためです。
また家父長制制度の厳しかった封建時代の名残があり、女性には離婚を請求する権利が認められていませんでしたが、男性からは家風が合わないとか、子供がいないなどの理由で妻は一方的に離婚させられたことも離婚率が高かった要因です。
その後、1898(明治31)年の明治民法施行によって結婚が届出制となり、離婚の手続きも役所へ届け出ないといけなくなったことが、人々の離婚意識に大きく影響を与え離婚率が減少していったようです。
また個人主義が芽生えてきたことや、青少年の人口増加の影響を受けて割合が低下したことも一因のようです。