第6回太平洋・島サミット(PALM6)が、5月25、26の両日、沖縄県名護市で開催された。1997年以来、3年おきに日本で行われているこの会議。14の島嶼国家・地域と援助供与国としての日本、オーストラリア、ニュージーランドが参加しているのだが、今回はフィジーが欠席、その一方で日本の呼びかけにより初めて米国が加わった。
ハワイの生活がパラダイス? とんでもない!
もちろん、米国は太平洋に島を数多くかかえる国でもある。その代表と言えば、「南海の楽園」というイメージで日本人お気に入りの地ハワイ。
しかし、現在劇場公開中の『ファミリー・ツリー』(2011)は、「ハワイでの生活がパラダイスなんてとんでもない」というナレーションから始まる。
その声の主ジョージ・クルーニーの今回の役どころは、ハワイ王室の祖先から受け継いだカウアイ島の広大な土地の管財人。永久拘束が禁じられその保有期限が近づいたことで親族と売却を検討中という設定である。
この映画が参考としたと思われるのがビショップ財団。
「王族が避暑地として愛した場所」との観光案内に接することの多いワイキキビーチ周辺だが、そのランドマークとも言えるロイヤル・ハワイアン・センターあたりの土地はかつて、カメハメハ王朝最後の人物バーニス・パウアヒ・ビショップが所有していた。
その地をはじめとした広大な不動産をネイティブハワイアンの教育のために使ってほしいという彼女の遺志をくんで設立されたビショップ財団は、今もハワイ随一の大地主なのである。
そして、その財団により、1887年創設されたのがカメハメハ・スクール。
ドキュメンタリー映画『ワンヴォイス ハワイの心を歌にのせて』(2009)には、生徒たちが合唱コンクールに向けて、慣れぬハワイ語修得に苦闘しながら練習に励む姿があるが、そんな中でハワイアンとしての誇りを意識するようになるというのである。
『ファミリー・ツリー』は世界各地で賞を獲得、地元ホノルルで行われたハワイ国際映画祭でもすこぶる評判が良く、2011年、作品賞を受賞した。