急成長を続けてきたソーシャルゲーム業界に激震が走っている。携帯電話やスマートフォンを通じて展開する主力のゲーム事業が、「コンプガチャ」自主規制によって収益源を失う恐れが出てきたためだ。
ソーシャルゲーム業界の内実や詳報は他稿に譲るとして、今回はこの問題を独自のナナメ目線で読み解いてみる。
今回のコンプガチャ騒動と同様、実は10年ほど前にも同じような構図でバブルが弾けた経緯がある。共通するポイントは、証券アナリストによる“煽り”。証券業界の悪しき慣習が、新手のゲーム業界を通して透けて見える。
消費者の射幸心を煽る「コンプガチャ」
「あんなものゲームとは呼べないシロモノだ。強いて言うならパチスロ機のネット版だ」・・・。
2年ほど前、筆者が外資系証券のゲーム担当アナリストと会った際、こんな言葉を聞いた。この時、アナリストが苦虫を噛み潰したような表情をしたことが、鮮明に記憶に残っている。
筆者自身はゲームには疎い。ましてソーシャルゲームに関する知識はほとんどゼロだった。当時、ソーシャルゲーム企業の台頭が著しく、その主力商品に関する知識を得ようと筆者が尋ねた時、真っ先に返ってきた答えが冒頭の言葉なのだ。
現在、大手マスコミを騒がせているのは、まさしくこのソーシャルゲームだ。携帯電話やスマートフォンを通じて展開する単純なゲームは、その導入部分は一見すると無料だ。
だが、勝ち進めるためには会社側が提供する有料アイテムの入手が不可欠となる。この際、複数のカードを揃えると戦闘力の高いアイテムを獲得できるというプロセスがある。
カードはスロットマシーンやくじ引きと同じ要領で購入するので、どんなカードが出てくるかは分からない。ユーザーは欲しいカードが出てくるまで何回もくじ引きを繰り返し、結果的に思いもかけない高額料金を課せられることになる。
このプロセスこそが、「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」であり、消費者の射幸心を煽る危険性が極めて高いとして、前々から評判が悪かったのだ。