マット安川 今回のゲストは、オピニオン誌「月刊日本」主幹の南丘喜八郎さん。消費税増税に突き進む政府の問題点や議員の資質、歴史から見たこの国の政道について広くおうかがいしました。

日米関係の強化とは、親分子分の関係強化にすぎない

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:南丘喜八郎/前田せいめい撮影南丘 喜八郎(みなみおか・きはちろう)氏
月刊日本 主幹(撮影:前田せいめい、以下同)

南丘 野田(佳彦)総理はいま、気持ちがものすごく高揚していると思います。

 政権交代して初めてホワイトハウスで日米首脳会談をやり、たぶん頭の中は、鳩山(由紀夫、元首相)さんの時におかしくなった日米関係をなんとか修復しよう、さらには社会保障と税の一体改革を成し遂げ、増税するんだという思いに駆られていると思います。しかし、私はノーサンキューです。

 例えば、日米安保、日米同盟とは一体何なのか。根源にさかのぼって真剣に考える必要があると思います。日米安保条約は1951年、吉田(茂)総理がサンフランシスコ平和条約に調印し、52年に発効しました。

 これはほとんどの国民が知らないと思いますが、吉田総理はその時、米国のジープでたった1人、米軍基地に連れていかれて、兵舎で日米安保条約に調印させられたんです。「調印させられた」んですよ。

 日本はその時まだ主権国家ではなく、占領下にありました。吉田さんとしても、こういう形で調印するのはいかがなものかと、おそらく躊躇したと思います。しかし決断し、日本国総理大臣という肩書はなしで、吉田茂とだけ署名して調印したんです。

 その数年後、岸信介(元首相)さんが、これは不平等条約だから改正しよう、もっと対等なものにしようということで60年安保改定が行われました。

 それで完全に対等になったかというと、なっていません。不平等なまま今日に至っている。日本が危なくなったらアメリカに助けてもらうけれども、日本はアメリカを守る義務はないと。要するに親分と子分の関係です。

 それ以降の歴代総理大臣も日米安保条約を強化しよう、日米同盟を強化しようと言ってきたけれども、それは親分と子分の関係を強化しようということです。

 ですからいつも親分に貢ぐわけです。日本人はあえてそれに目をつむり、不平等を当たり前として受け入れてきた。

尖閣諸島を買い取るだけでは問題は解決しない

 石原(慎太郎)都知事が、尖閣諸島を東京都が買うと発言されました。マスコミも世論も意見は分かれています。私は賛成・反対どちらの意見にも納得する部分があり、中途半端だと言われますが、つまりこういうことです。