週刊NY生活 2012年4月7日第390号

 ニューヨーク市警によると3月29日午前5時35分ごろ、ブルックリン区フラットブッシュ地区の商店街に近い3階建タウンハウスの2階知人宅に宿泊滞在していた日本人女性旅行者が、3階で麻薬捜査中の私服警官の短銃が暴発し、銃弾が床を突き抜けて階下にいた日本女性の左腕に当るという事件があった。

 銃弾は、リビングのソファに置いた枕に手をかけて寝ていた女性の腕をかすめて枕を直撃した。あと10センチずれていたら大惨事となるところで、まさに危機一髪だった。

 被害に遭ったのは、大阪出身の立本恭子さん(24)で2日、本紙の取材に応じた。立本さんによると3月27日に観光旅行のためニューヨークに来て、知人の親戚宅に宿泊中に事件に遭った。

 立本さんの左腕から出血していたため、警察官が救急車を呼んでキングスカウンティ病院で治療を受けた。事件を重く見たレイモンド・ケリー・ニューヨーク市警本部長が心配して病院に駆け付け立本さんに謝罪した。

日本人女性が宿泊していた建物(写真:三浦良一)

 立本さんが同日、トリニダードに友人たちと観光旅行に行く予定だったことから、ケリー本部長が、立本さんが予定の飛行機に乗り遅れないよう部下にジョン・F・ケネディ国際空港へ立本さんを送り届けることを指示した。

 立本さんは3泊4日の旅を終えて今月2日にニューヨークに戻った。負傷した左手にはかさぶたができているが腕の機能などには支障はないという。今月8日に予定通り帰国するという。

 ニューヨーク日本総領事館は本人からの援護要請などはなかったが、事件報道後、警察で事実関係を確認したという。

 事件当日は、刑事が3階にある麻薬容疑者の男の家に踏み込んだところ、男が抵抗したため銃が暴発したという。男は一緒にいた女と共に身柄を拘束された。同地区は昼間でも大通りがシャッターを下ろしており、夜の一人歩きなどは危険とされている。