日本の大新聞は右も左も消費税増税大歓迎である。3月31日の日本経済新聞の社説は「首相はぶれずに突き進め」と増税反対派を牽制しているし、同じ日の朝日新聞は「やはり消費税増税は必要だ」の見出しで日本のためにはこれしかないという口調である。
しかし、大新聞の消費税増税大合唱には首を捻らざるを得ない。
前にも書いたが新聞協会は自分たちだけ消費税増税の適用除外を申請しているようだし、そもそも新聞は全国一律の定価販売が強制的に認められている。お役所から世界的にも稀な既得権益をたっぷり与えられているわけである。
さらには、日本独特の記者クラブ制によってさらなる特権的立場を与えられている。こうしたぬるま湯にいながら財務省主導の消費税増税に反対できる方がおかしい。消費税問題に関して新聞の書くことを信じるのはあまりに危険と言わざるを得ない。
消費税は本当に公平なのか?
そもそも消費税増税が必要だと言いながら、その根拠はかなり苦しい。例えば3月31日の朝日新聞の社説。消費税増税が必要な理由として3つを挙げている。
1つはなぜ消費税なのか。その答えとして次のように書いている。
「社会全体で支えあう社会保障の財源には、一線を退いた高齢者から、働く現役組まで幅広い層が負担し、税収をも安定している消費税がふさわしい」
クロヨンと呼ばれる極めて不公平な日本の税制に根本的なメスを入れるわけでもなく、公平だから必要だという論理のどこに正当性があるのか。
そもそも、消費税が公平だと言うが、これから結婚、子育てと続く若い世代の消費税負担率は定年後の世代よりはるかに重い。
しかもこれは時間の関数でもある。若い人たちは長い間、高い消費税を払い続けなければならないうえに、今後消費税率が加速度的に上がっていけば、最も不公平な扱いを受けるのが彼らである。