北朝鮮が4月に「人工衛星」を打ち上げると発表し、国際社会に緊張が広がっている。今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、中山氏が朝鮮半島情勢や大阪府の「子どもを性犯罪から守る条例」などについて解説。
また、元産経新聞記者の今西和貴氏をゲストに迎え、大阪維新の会をめぐる既成政党の動向について議論した。
東西冷戦構造から読み解く朝鮮半島情勢
中山 オバマ米大統領が25日、核安全保障サミット出席のため韓国を訪問し、李明博大統領と会談しました。会談に先立ち、オバマ大統領は北朝鮮との軍事境界線がある非武装地帯を視察したそうですが、非常に有意義だと私は評価しています。
重要なのは、北東アジア地域において今後、米国大統領としていかに具体策を講じていくかということです。
第2次世界大戦後、朝鮮半島では北緯38度線以北をソ連に、それ以南を米軍に武装解除されたことから南北分断の歴史が始まりました。南側の責任を歴史的に有する米国のオバマ大統領が、21世紀の朝鮮半島情勢の新局面において金正恩氏とどう渡りをつけるのかが注目されます。
その背景には当然中国やロシアの存在がありますが、私の見解で北朝鮮問題を簡単に言うと、大国である米中による北朝鮮の「ぶんどり合戦」なんです。
中国からすると、北朝鮮は地政学的に隣同士で、しかも核を持っている。北朝鮮が将来、鎖国状態を解いた時に「チャイナナイズド」して中国的な民主化を果たすのか、または米国が今の北朝鮮にコミットして「アメリカナイズド」するのか。
東西冷戦構造時代のベルリンの壁崩壊以前、世界は共産圏と自由圏に分かれていましたが、北朝鮮をめぐる朝鮮半島情勢を語るには当時の色分けで見る必要があると思います。
PAC3は本当に北朝鮮の「衛星」を迎撃できるのか
その北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げると発表しましたが、事実上は長距離弾道ミサイルの発射だという見方が広がっています。
人工衛星とミサイルの違いは発射速度にあります。もしこれが北朝鮮の言うとおり人工衛星だとしたら、大気圏より外側に出なければならないため、ある程度の発射速度が必要です。
一方、ミサイルの場合は人工衛星よりもスピードが落ちる。つまり、打ち上げ時の速度によってどちらなのかを見極めることが可能です。ただ、これだけ「ミサイルだ」と非難されているということは、おそらく防衛関係筋から速度計算の根拠が挙がっているのでしょう。
一番心配なのは、政府がミサイル発射に備えて地対空誘導弾パトリオットミサイル3(PAC3)を配備する方針を明らかにしましたが、本当に日本の迎撃ミサイルが機能するかということ。