就職面接の際に、求職者が利用しているソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のパスワードを聞き出そうとする雇用者が増えていると伝えられ、米国で騒動になっている。
詳細について最初に報じたのはAP通信。それによると、ニューヨークに住む統計学が専門のある男性が、面接で一通りのことを聞かれたが、その直後に、面接官がパソコンに向かい、男性のフェイスブックページを探し始めた。
しかしページを見付けられなかった面接官は、男性にログイン情報を教えるよう求めたという。
もちろんこの男性は要求を拒否し、その会社への就職をとりやめたというが、雇用が順調に回復を見せる中、米国ではこうした事例が増えており、拒否できない人も多いという。
米国の企業や官公庁では適切な人材を探すことを目的に、履歴書や推薦状だけでなくフェイスブックの情報も閲覧するようになっている。
ここ最近はそれがエスカレートし、求職者に成り代わってログインし、本人の交流関係を知ろうとする雇用者が現れたとAP通信は伝えている。警察官採用の面接で、暴力団との関係がないかを探る目的でパスワードの開示を求められ、応じた人もいるという。
上院議員が当局に調査を要請
こうした報道を受け、政治家がさっそく動き出した。複数の米メディアによると2人の上院議員が、雇用者の求職者に対するパスワード開示要求が連邦法に違反していないかどうかを調査するよう米司法省(DOJ)と米雇用機会均等委員会(EEOC)に要請した。
米ニューヨーク・タイムズによると、そのうちの1人、チャールズ・シューマー上院議員が声明を出し、次のように述べている。
「我々の個人情報や個人的な交流がますますオンラインの世界に広がってきた今、すべての人が自分の情報の公開・非公開を決められるべきだ」(同氏)