いやはや米国のオバマ政権が日本の民主党、鳩山由紀夫政権に対し、これほど激しい不信や憤慨を抱いていたとは思わなかった。
特に当時の鳩山首相の「東アジア共同体」構想にオバマ政権はびっくり仰天し、反米の極致として怒り心頭に発していた、というのである。
まさに日米同盟の深刻な危機だった。米国側のこんな真相がオバマ政権の対日政策の中核にいた元高官によって明らかにされた。
オバマ政権が鳩山政権に抱いた4つの心配
この暴露はオバマ政権の国家安全保障会議の東アジア担当上級部長を務めたジェフリー・ベーダー氏が今月出版した『オバマと中国の台頭』(ブルッキングス研究所刊)という新著に記されていた。
ベーダー氏はオバマ政権誕生冒頭の2009年1月から2011年4月まで大統領のそばにいて、日本をはじめとするアジアへの政策について助言する同上級部長のポストに就いていた。日本についての回顧は同書の第5章「日本:自民党から民主党の統治へ」に書かれている。
ベーダー氏はその中で次のように述べていた。まず2009年8月の日本の総選挙で民主党が大勝して鳩山政権が誕生した時、オバマ大統領は公式には鳩山政権を歓迎し、鳩山由紀夫首相にも温かい祝辞を送り、ニューヨークでの初の首脳会談でも日米連帯をうたった。しかし、すぐに鳩山政権の側にいくつかの「阻害を起こす出来事」が生じた、という。
それらの「心配な出来事」としては4項目が記されていた。その趣旨は次のようだった。
「第1に、普天間基地に関して、鳩山氏が沖縄からすべての米海兵隊を撤退させると選挙中に宣言していたことだった。米側では鳩山氏が首相となれば、現実を理解して、その宣言を引っ込めると期待していたが、なかなかそうはならず、米国側はいらだっていった。
第2には、鳩山氏が日本の米国依存を減らし、米国と中国との中間に立つような外交政策方針を述べ始めたことだった。