いま、米国や英国で紫色をした「UV」マークのついたDVDやブルーレイディスクを買うと、プレイヤーがなくてもパソコンで映画を見られるという。

 そこで、今回米国に出張した機会を利用して、UV、すなわちウルトラ・バイオレットを体験してみた。

ウルトラ・バイオレット用のコードを配給元のサイトで入力し、映画をダウンロードする(写真はCES2012で筆者が撮影したもの)

 ニューヨーク・マンハッタンのユニオンスクエアにある家電量販店ベストバイは、DVDやCD売場も併設されている。

 そこに「UV」対応の作品はあるか探すと、棚を大きく取ったブラッド・ピット主演の「マネーボール」がウルトラ・バイオレット対応と告知されている。早速購入した。価格は35ドル。

 プラスチックケースを開けると、ブルーレイとDVDの2つのディスクが入っている。そのディスクの間にチラシが挟まっていて、そこに書かれた13桁のコードを映画の配給元であるソニー・ピクチャーズのサイトで入力する。

「マネーボール」をウルトラ・バイオレットで視聴するためのプレイヤーが自動ダウンロードされる
拡大画像表示

 さらに、ソニー・ピクチャーズのメンバー登録もすると、映画を見るためのプレイヤーが自動ダウンロードされる。そのまま、今すぐPlayというボタンを押すと、すぐに映画が始まる。

 プレイヤーは、再生、早送り、巻き戻し、全画面表示のみのシンプルなもの。宿泊したホテルで再生したが、たまにバッファリング表示が出て、画面が止まった。

 そして、デジタルファイルのダウンロードもできる。2GB近いファイルは1時間ほどで自分のノートパソコンにダウンロードできた。そのファイルは、日本に持ち帰っても再生できた。

ウルトラ・バイオレットはDVDのファイル版ビジネス

 ウルトラ・バイオレットは、VHSに始まり、DVDやブルーレイに引き継がれたディスク形態の映像ビジネスのデジタル版だ。CDという形態からデジタルファイルを持ち歩くように変化した音楽ビジネスの映像版である。

 この原稿を読んでいるあなたも一度はDVDを買ったことがあるだろう。そして、DVDを買うほどの映画は、買ってきたDVDを家族と一緒に見たり、友達に自慢して貸したことがあるかもしれない。ウルトラ・バイオレットも、それと同じことができる。

 音楽がデジタルファイル化された初期、我々を悩ませたのが、ファイルの互換性だった。好きな音楽を聞きたいがために、何回も同じ曲を違うファイル形式でダウンロードしたものだ。