「エルピーダが会社更生法を申請」

 2月27日、当コラムの読者なら、誰もが知っている悲しくも腹立たしい出来事が起きた。翌28日、TBSの記者からインタビューを申し込まれた。日経新聞や毎日新聞出版の「週刊エコノミスト」などに何度も苦い思いをさせられている私としては、どうしようかと躊躇した。

 しかし、私はエルピーダメモリ設立時に唯一手を挙げて出向を志願した元社員であり(NECと喧嘩してたった1年で叩き出されたけれど)、また現在はメルマガでその体験記を連載している。その私がエルピーダを語らずして誰が語るのかという思いから、TBSの取材に応じることにした。

 インタビューの収録にはその前後の時間も含めて1時間くらいかかった。TBS往復も含めると4時間くらいを費やしている。

 しかし、放映された時間はわずか10秒。言いたかった意見の1万分の1(は大げさだけれど)も伝わらなかった。そして、私は「元エルピーダの“ゆのうえ”さん」と放送された。ガッカリしたことこの上ない(TBSの記者から謝罪の電話があったことは付記しておく)。

 止むを得ないので、私が言いたかったことを、本稿に執筆させていただきたい。先月に引き続き、2カ月連続でエルピーダの話題を取り上げるのは、いささか気が引けるところもあるが、ご了解下さい。

坂本社長もアナリストも全員間違っている

 時事通信が報道している坂本幸雄社長の記者会見の全文を読んだ。また、新聞やネットニュースなどに掲載されているアナリストたちの意見も見た。

 彼らは、経営破綻の原因を、「DRAM価格の下落、歴史的円高、震災、タイの洪水」にあるとしている。

 全員、間違っている。

 上記に列挙した要因は、経営破綻のトリガーになったに過ぎない。経営破綻の本質的な原因は、ここにはない。