かねて米アップルが今年後半にも「iTV」と呼ばれるスマートテレビを市場投入し、数十億ドル規模の新たな成長ビジネスを作り出すとの期待が出ていたが、この話が信憑性を帯びてきたようだ。
既に試作機を試験中
カナダの有力紙、グローブ・アンド・メールが2月7日、「アップルがiTVの立ち上げに関してカナダの通信大手2社と協議中」と報じて話題になっている。
2社とはロジャース・コミュニケーションズとベル・カナダを傘下に持つBCE。いずれも、電話やインターネット、テレビサービスなどを手がけるカナダの2大通信コングロマリットだ。
グローブ・アンド・メール紙は関係筋の話として、アップルは携帯電話やブロードバンドサービスを手がけるパートナー企業を探しており、この2社にアプローチしたと伝えている。また別の情報筋の話として、開発中の試作機が既にこの2社の研究施設にあり、それぞれ性能試験を行っているという。
グローブ・アンド・メール紙が記事で伝えているiTVとは、タブレット端末の「アイパッド(iPad)」を大型化したような製品。スマートフォンの最新モデル「アイフォーン(iPhone)4S」に搭載されて話題になった音声アシスタント機能「シリ(Siri)」を備えており、音声やジェスチャーで操作できる。
スクリーンにはキーボードが表示され、同様の方法で操作できる。これにより映像コンテンツや、ウェブ、ビデオチャットのほか、ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアを物理的なユーザーインターフェース(UI)を介することなく利用できるという。
米国ではAT&Tやベライゾンが有力
アップルがテレビ事業に本格進出するのになぜ通信事業者との提携が必要なのかという点については、グローブ・アンド・メールをはじめ、複数の海外メディアが取り上げている。これは、米投資銀行ジェフリーズのピーター・マイセク氏というアナリストが顧客向けに出した調査ノートで指摘したことがきっかけだったようだ。