この年末年始も、例年通り、私はテレビに映し出される世界各地の初日の出の様子を見ていた。今年の話題の主はサモア。これまで世界で最後に迎えていた初日の出を、今年から最初に拝めることになったからである。
12月30日を“消した”国
別に国境線に変更があったわけではない。日付変更線の方をちょっとずらしただけのことである。
ちょうど昨年の今頃公開したコラム「世界大激変前夜、2011年という歴史的時空」の中で、1日という時差が織りなすタイムトラベルのごときサモアとトンガでの体験を紹介した。
オーストラリアやニュージーランドの経済圏にある小国にとってこれらの大国と日付が違うというのはあまりに不便だったということだ。そこで2011年12月29日の翌日は31日とすることで「日差」を解消したわけである。
こうしてサモアの歴史から2011年12月30日という日付が消えたわけだが、その日があろうとなかろうと、新年初めて見せる太陽の勇姿を望むサモア人の気持ちに変わりはなさそうだ。
日の出とともに暖められていく大地にたたずんでいると、また1年頑張ろうというエネルギーが湧いてくるのは、いつどこにいても同じだろう。それは、太陽は地球に暮らす生物にとって大切なエネルギー源であることを実感する時でもあるはずだ。
2012年、オーストラリアのケアンズで皆既日食
そんな太陽の前をスッポリ月が覆い、大地に降り注ぐエネルギーが急激に減少していくことを体感できる皆既日食は、オーストラリア、ケアンズで、今年11月に見ることができる。
そう聞くと、神秘体験を期待して奄美大島などを訪れた人々の夢がはかなくも消えた2009年夏を思い出す。
そこで、リベンジ。今年5月21日、日本で金環食を見ることができるのだ。太陽光がそれなりに差し込むため皆既日食ほどのドラマ性はないが、関東から九州にかけて、何と東京、名古屋、大阪という大都市でも居ながらにして見られる、というのだから嬉しいではないか。
そんな日食と並ぶもう1つの天体ショーの花形と言えばオーロラだが、さすがにこればかりは日本にいながらにして見ることはできない、と諦めていることだろう。しかし、一昨年夏、「日本でもオーロラが見られるかもしれない」とNASAが発表したことがあったのである。
ここでポイントになるのが、その発表を報じる記事にある「無線通信に影響が出るかもしれない」という一言。